ドジガヅくん

青の帰り道のドジガヅくんのレビュー・感想・評価

青の帰り道(2018年製作の映画)
4.3
青春。
なんでも自分たちが中心に世界は回っているような錯覚を覚えて、自分たち以外のことになんて興味がない時代。
また、青くさい時代とも言われる。

物語はそんな青春真っ只中の高校時代から始まる。
スタートの舞台は2008年。
俺たちは一生、こうして集まって、くだらない話をして、また明日って解散する、そう思っていた。

そんな時代は多く語られず、舞台はそれぞれの人生へ。
高卒で就職する者、夢を追いかける者、大学生活に華を咲かせる者、挫折を味わったが大切な人との約束を守るためリベンジを誓う者。

そんな7人が立ち向かう現実との物語。


すべてを語ってしまうとキリがないので、さわりの話はこの辺で。

とにかく、すべてが胸に響く。
自分が青春からだいぶ離れてしまったから、とかではなく、「彼ら」の「誰か」が自分自身とリンクしてしまうから。

「青春の時代」から「それぞれの人生」を歩み始めた彼らは決して同じように「集まる」ことはできなくなってしまった。
あの頃から変わったことはあったか?と思う者と、もう大人なんだよガキじゃないんだよ、と思う者。
それぞれの交錯する想いが伝わってしまう演出に冷や汗が流れるほどに。

この作品は、青春時代が良かった。と振り返る青春ムービーではなく、毎日毎日朝早く同じ時間の電車に乗って、なんの刺激もない毎日同じような仕事を繰り返しこなし、家に帰って飯を食って寝る、そんな毎日を送り続けてしまっている人の心にズバッと深く切り込んでくる作品だ。

どんなに拒んでも、時間は進んでしまう。
私たちは目に進むべきなんだ。
でも、大丈夫。また昔のように集まれる。いつだって。
まるで昨日も会っていたかのように。