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記者たち~衝撃と畏怖の真実~のknykeastのレビュー・感想・評価

3.8
記憶に新しい米軍によるイラク侵攻。その裏側で何が起こっていたのか。当時唯一「大量破壊兵器」の存在に疑問を呈した報道機関、ナイト・リッダー社の立場から、報道の真実とは何かを問いかける。

911同時多発テロ。その悲惨な状況をまざまざと思い出しました。当時のリアルな映像から、愛国心の高まりや、テロリストへのやり場のない憤り、アメリカは国として異常に感情が昂っていく。

一方ベトナム戦争を経験していたアメリカ。戦争は何も解決しない、憎しみが更なる憎悪を生み出す事も、その歴史から身をもって学んでいたはず。。

当時、遠い日本から眺めていた自分も、どこかイラクへの侵攻を正当化していたかもしれない。

後になって、「大量破壊兵器」の存在なんてなく、当時の情報が「都合の良い推測」であった事がわかる訳だが、改めて世間の論調の危うさを思わずにはいられません。

冒頭シーンとエンドロールが印象的な本作。報道の真実とは意外にも簡単なのかもしれない。それは情報が「事実」である事。そしてその積み上げの中にこそ真実がある。

ナイト・リッダー社。当時の○○タイムスや、○○ポスト等の主要紙が、一様に開戦ムードを盛り上げる中、信念の報道には頭が上がらない。

その信念の記者をウッディ・ハレルソン、ジェームズ・マースデンが好演。そしてミラ・ジョヴォヴィッチ、ジェシカ・ビールなど脇を固める女優の演技も見逃せない。

報道の真実。都合の良い仮説を打ち立て、たいした検証もせずに突き進む危うさ。。今一度、襟を正したいと思わせてくれる作品です。
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