叡福寺清子

記者たち~衝撃と畏怖の真実~の叡福寺清子のレビュー・感想・評価

3.4
イラク戦争の根拠となった大量破壊兵器の存在.それが偽情報と唯一報道しつづけた新聞社ナイト・リッダーと記事の中心人物であるジョナサン・ランデーとウォーレン・ストロベルの取材風景を描いたのが本作.こんばんわ三遊亭呼延灼です.
今となってはナイト・リッダーが正しかったと分かっていますが,9.11をリアルタイムで体験した身としては,よく調べられたなぁよく書けたなぁと感慨深い気持ちで視聴し続けました.いやだって愛国心一色の時代ですよ.そうですね,小泉純一郎政権下で彼の政策を批判するくらいに勇気がいっただろうし(奇しくも小泉政権も2001年発足),そもそも誰も相手にしなかった(野党が何をどう訴えようとダメだと嘆いたのを憶えています),ストロベルが恋人の父親との問答に無気力になるってのは,そういう事なわけです.
その絶望に苛まれてもおかしくない状況の中,二人を支えたのがボスのジョン・ウォルコット局長.中の人ロブ・ライナーは本作の監督兼製作であり,ハレルソンとは前監督作LBJでタッグを組んだ関係.どんなけハレル好きやねんな,ロブさん!
そのウォルコット局長の仕草かわいいがチャーミングじーさんでとても好感なんですが,それだけではなく「我々は他人の子を戦争にやる者の味方じゃない 我々は我が子を戦争にやる者の味方なんだ」と語る胸アツじーさんでもあるわけでますます好感度アップアップ.監督がこれだけいい役やるって我田引水の批判が出そうなもんです.
戦争といえば,売電現大統領も当時イラク出兵に賛成していたのですね.知りませんでした.というか今の売電って本物なんでしょうか.そもそもあの選挙に不正はなかったのでしょうか.ナイト・リッダーにはそこんところ是非とも調べていただいて,その過程を今度はジュリア・エイブリー監督あたりにお願いしたいところであります.