toshi

まく子のtoshiのレビュー・感想・評価

まく子(2019年製作の映画)
4.0
またまた思春期に色々と悩む子供達の物語をチョイス。どうしてこの手の作品はあらすじ読んで惹かれてしまうのか自分でも分かりません。
そして鑑賞してしまう・・・。

田舎の温泉町で旅館を営む両親と共に暮らしている11歳の慧。彼の旅館に仲居として働く為住み込みで越してきた女性とその娘梢。そして梢も11歳で慧の学級に転校生として入学します。背が高くて美少女な梢ですが、兎に角言動がおかしい。ただでさえ大人になりたくないとか自分の股間の変化に悩み、何か死をも意識している慧に梢はずっと付きまとう。そして慧には理解できない事ばかり言います。でも慧はそのうち梢と居る事を心地よくさえ思ってくるのですが、そんなある日梢からある秘密を聞かされます。

温泉町に住む大人達が嫌いで特に父親が大嫌いな慧。日々自分の身体の変化にも悩みながら転校生の梢に密かに思いを寄せ、甘酸っぱい少年の成長を画面越しに見守る・・・そんな作品なのかなと思いきや。こんなファンタジーだったとは。
今作西加奈子さんの原作未読や、あらすじすら前情報無しに鑑賞すると「なんだこれ?」となっちゃうかもしれません。
私は梢役の新音さんがあまりにも美しくて、その美貌から梢という不思議少女役が妙にマッチしていたのでそれだけでも楽しめました。また、子供達の脇を固める役者さん達の立ち位置が絶妙で、特に慧の父役だった草彅剛さんが素晴らしかったです。だらしない父親役なんですが、でもやっぱり慧の父親なんだなぁというリアルな演技に引き込まれました。

梢の言った秘密って本当の事?とずっと引っかかったままクライマックスを向かえますが、結果が本当でも嘘でもそのクライマックスはやさしい気持ちになれました。
締めの洗濯機の前に立って話す親子、そして梢と出合えたことで優しい少年となった慧が印象的でした。

【余談】
新音さ演じる少女の名前が「まく子」かと思ったのですが・・・。
そういう事だったんですね。
toshi

toshi