晴れない空の降らない雨

僕の彼女は魔法使いの晴れない空の降らない雨のレビュー・感想・評価

僕の彼女は魔法使い(2019年製作の映画)
1.0
 幸福の科学のしょうもなラブコメ映画を観ていると思ったら、いつの間にかパルパティーンが赤いビームを放っていた……。
 芸能界をやめて入信して話題になった清水富美加の主演作。この清水富美加あらため千眼美子(法名)のPVみたいな内容だった。壊滅的脚本のなかでも序盤のラブコメがとくに無残で、「ここまでやるならいっそ食パンくわえて走って角でぶつかれ」と言いたくなるレベルのわざとらしさ。この苦行を経て、また少し悟りの境地に近づけたと思いたい。
 中盤では、彼氏への弁当づくりに苦戦して見事なふくれ面を見せつけながら、千眼本人によるポップな挿入歌が入る。これは教祖の娘がうたう主題歌同様、教祖の大川が作詞・作曲(ということになっている)。歌詞は、「アタシ女の子だからどうたら」とかいうヘドが出る通俗性で油断させておいて、いきなり「魔法使いを信じて~」みたいな怪フレーズで不意打ちをしかけてくるから困る。
 
 千眼は三流役者とはいえプロなので、明らかに教団生え抜きの有象無象とは雰囲気が違っている。あと単純にお顔の造形がよろしい(というかオタク受けする。回想の子役がどう成長したら彼女になるのだ?)。「やっぱプロの俳優にはそれっぽいアウラがあるもんだなァ」と思わせられた。そんな人がいきなり学芸会に入ってきたようなもんである。
 劇中でも彼女は、もともと主人公が好きだったクラスメイトから1週間程度で奪い去る無双ぶりだが、まさにお抱えの俳優陣と千眼の関係とパラレルなのであった。そういうわけで、今後も彼女を使い倒していくのだろう。
 
 そして、ますます浮き彫りになる教団における俳優の層の薄さ。とくに千眼の祖父の魔法使いは単なる薄汚いジジイで、それが白ローブまとって玩具みたいな杖を持っているのが安いコスプレにしか見えず、だいぶ前に物好きの間で流行ったアニパロ系AVを思い出させた。
 魔法使いが戦う話なのにアクションが全くないのも、動ける俳優がいないからだろう。それをCGでごまかすが、低予算なので恥の上塗りにしかなっていない。ホウキでロマンス飛行した夜空は、星すら見えない真っ暗闇。敵のカラスに追いかけられるも、そんな映像はつくれないので、クロースアップされた千眼の表情だけで示すしかない。大昔の低予算ホラーみたいな真似しやがって。都内の一等地に施設を建てまくる財力あるのに。
 
 
■ギリシャ神話推しの謎
 
 本作で、この宗教における「ギリシャ神話推し」の謎が少し解けた気がする。なんでギリシャ神話の登場人物に過ぎないヘルメスが、教団の最高神エルカンターレ(イエスであり仏陀でありニュートンでもある!)と同一視されるのか。ここには、「古代のヘルメス崇拝 → 中世のキリスト教異端(錬金術)→ ユング → ニューエイジ→ 精神世界系・スピリチュアル系 → 幸福の科学」という系譜があったと思われる。
 という話で鑑賞後盛り上がったが、そんなに真剣に考えたというよりも、使えそうな要素を適当に取り込んでいったら、そういう設定になったのだろう。そもそもは、スピリチュアル系にハマりやすい有閑マダムらを取り込むために、そちらの要素を濃くした、とかそんなところだろう。