kassy

オーケストラ・クラスのkassyのネタバレレビュー・内容・結末

オーケストラ・クラス(2017年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

試写会にて。Filmarksさんご招待ありがとうございました!

フランスで実際に行われている、音楽教育プロジェクトの「Démos」。このプロジェクトは、子供たちに無料で楽器を贈呈し、プロの音楽家が音楽の技術と素晴らしさを教えるプロジェクトだそうです。このプロジェクトに着想を得て、挫折した中年のバイオリニストが音楽クラスの先生をする事を通して、音楽を奏でる事の喜びと人生の素晴らしさを再確認していく様を描いた作品です。

フランスらしく、音楽クラスの生徒達は多種多様。楽器を粗末に扱い、集中力がもたず、遊んだりケンカしたり先生に対しても悪口を。自らクラスを選択したはずなのにやる気がなさすぎる…。まぁ、子供なんてそんなもんか。笑
そんな中、音楽クラスのメンバーに漏れたけど、どうしてもバイオリンがやりたいほど熱意に溢れたアーノルド少年は、メキメキと才能を開花させます。
子供たちは1年後のコンサートに間に合うのか…??

あまりの自分達の下手さを痛感し、まとまらないメンバーを叱責し、もっと練習しようと一丸となる、というのは日本のオーケストラものでもよく見る光景ですが、この映画では声高にみんなをまとめようだとか、もっと練習しようだとか、はっきりとした言葉を使わず、あくまでもサラッとした温度感で描くのが、フランス流。
ぶつかりながらも、泥臭さよりもスマートさを感じる作り。
その為、ウェットなエモーショナル感はあまりありません。そこが少し、展開に物足りなく感じる人もいるかもしれません。

しかし、数ある紆余曲折ある伏線も、あまり回収する事なく終わるので、あれ結局どうしたんだろう感が残りました。
また、子供たちの下手な時を長く見すぎたせいか、なんというかラストは…感動というよりも出来すぎ?感がなきにしもあらず。急に上手くなりすぎじゃないですか。
みんな良く頑張ったなぁ……汗

それにしてもパリ19区のアパートの屋上から、パリの景色を一望しながらバイオリンの練習をするというシチュエーションが素敵すぎました。夜景、夕景、朝靄とパリの刻々と変化する美しい景色の中、練習する姿が何より美しいシーンです。
あと、コンサート前のシーンが永遠に続くように感じるほどの緊張感を感じられる作りになっていて、とても良かったですね。
kassy

kassy