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オーケストラ・クラスのharukaのネタバレレビュー・内容・結末

オーケストラ・クラス(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

クラシックのことなんかなにも知らない。先生の言うことにも、言い返したりからかったりの、全然落ち着かない子どもたちにヴァイオリンを教える、急に来たオーケストラクラスの先生。
最初は楽器のこともおもちゃ扱いで、全然大切にしない。
だけど、先生の演奏を聴いた途端の、あの変わり方、あれが素晴らしかった。魅入られたんだね、みんな。
そして、これは先生が教えることや子どもたちと過ごすことに魅入られる話でもある。

その昔、部活でヴァイオリンを弾いていた。5年やったけど、いま考えても、びっくりするくらい下手だった。でも、うんと楽しかった。
楽器を準備するときのあの一連の流れ、演奏会へ向かうときの緊張感と少し誇りたくなるようなあの気持ち。そんなことを思い出しながら鑑賞していたので、彼らの舞台での第一音を聴いた途端、涙が出た。すごく上手くなってた。

子どもたちを取り巻く環境は厳しいのかも知れないし、ほかに興味もたくさん出てくるだろう。何人がこの楽器や音楽を続けるのかと思うとしんみりしかけるが、そうではない。わたしはあれ以来、もうヴァイオリンを弾くこともないし、当時買ってもらった楽器は古くてボロボロだ。
でも、いまでも曲を聴けば、指はなんとなく音を押さえるように動くし、あの頃演奏した曲は忘れずいまでも大好きだ。かれらにも、同じものがきっと残る。たとえ楽器をやめても。素晴らしく楽しかった、誇れる経験として。
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