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RBG 最強の85才のGreenTのレビュー・感想・評価

RBG 最強の85才(2018年製作の映画)
3.5
この人って、人間として面白いですよね。

1933年生まれで1956年にハーヴァード・ロースクールに行った女性ですから、今では考えられないほどの女性差別に遭ったとか、その後の功績とかはこのドキュメンタリーや『ビリーブ 未来への大逆転』で観て欲しいのですが、それ以外の逸話が色々印象に残りました。

まず、 『ビリーブ 未来への大逆転』で本人を演じたフェリシティ・ジョーンズに本当に似てますね、若い時。本当に小っちゃくて美人だったんだなあと。

それと、RBGって、最高裁判所の判事に任命された、「初の」じゃなくて「2番目の」女性なんですよね。最初の人はサンドラ・ディ・オコナーって言うんだけど、この人ことなんて全然知らなかった。

RBGがこんな有名になったのは、ポップ・カルチャーに取り上げられたからですよね。これってやっぱ、性差別に基づくバイアスを法律から無くそうと戦った人なので、現在の若者の感性に訴えたからなんだろうなあ。

旦那さんがすっごい理解者で、2人はラブラブだったっていうのは映画でも描かれていましたけど、こっちで本物を観ても、まあ~この旦那さん、RBGが最高裁判所の判事に任命されたときのスピーチで自分の話をされてニヤニヤし始めたり、本当に好きなんだな~ってのと、その上マジでユーモアのある人。この人のスピーチめちゃ面白い。

旦那さんがおちゃらけた人だったのに対してRBGはストレートでクソ真面目なタイプだったらしいのですが、私はそこが好きですね。「自分が自分が」みたいに表に出ていく人じゃなくて、周りがRBG!って大騒ぎしていても、自分は自分の仕事をしっかりする、それ以外の祭りごとには乗らない。

でも、あまり多くは語らないけど、ユーモアのセンスはあるし、オープンマインドなので、若者にポップカルチャーのアイコンにされることに関しては面白がっているところが良い。「ラッパーの名前をもじったあだ名付けられて嫌じゃないんですか?」って聞かれて「なんで嫌がる必要があるの?私も彼もブルックリン生まれ。似ているわよ」って言ったりとか。

あと、フェミニズムのプロテストとかそういうのには参加しなかったってのが、個人的には共感しました。私も一匹狼タイプなので、集団で集まってプロテストとかって興味湧かないんですよね。ああいうのって、声を聴いてもらえない人がやるって気持ちはわかるんですけど、「プロテストをやること」が目的になっちゃってる人がいたり、プロテストをやる時間があったらもっと有益なことできないかなとも思うし。

また、最高判事って9人だっけ?で、保守派とリベラルとどっちが多いかで、どんな法律が通るか決まっちゃうみたいなケンケンガクガクな関係なのに、RBGはゴリゴリの保守派のおじさんと仲良くなっちゃうんだよね。クリントンでさえ「RBGはどうやってあんなことができるのか」って言ってた。

なんかその理由ってのが、2人共オペラが好きだったかららしいんだけど、それ以外にも、ユーモアのセンスが似ているらしい。2人が揃ってインタビュー受けているシーンがあるんだけど、なんでも一緒にインド?だかどっかに行って、ゾウに乗ってる写真があって、おじさんが前、RBGが後ろに乗っていたために「フェミニストからなんで女が後ろなんだ!ってすげー文句きたよな」っておじさんが言うと、RBGが「これは重量が偏らないようにそうなっちゃただけなのよね」って笑ってるし。

女性差別を受けながらがんばったんだ!みたいなエモい感じでもなく、差別絶対ダメ!みたいな説教臭い感じにもならなかったのは、RBG自身がそういう人じゃないからなんだろうなって思った。だって、最後のジェニファー・ハドソンの歌とか、ああいうの入れちゃうてことは、製作者はちょっとエモい感じだもん。
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