ゆめちん

ヴァンサンへの手紙のゆめちんのレビュー・感想・評価

ヴァンサンへの手紙(2015年製作の映画)
3.0
ヴァンサンへの手紙

上映期間中に逃し鑑賞できないと思っていましたが、困った時のジャック&ベティで無事鑑賞。

レティシア監督の友人ヴァンサンが突然命を絶ち、彼の不在を埋めるかのようにフランスのろう者たちにスポットライトを当て、彼らを取り巻く医療・教育・人権問題などから彼らが抱える心の声を描いたドキュメンタリー作品。

いちばん驚いたのは、フランスでは130年もの間、ろう者のコミュニケーションツールとして口話(音声言語に基づいて行う方法)を強要し、手話は禁止され社会からも抑圧されてきたということ。
(ろう者のコミュニケーションには手話が当たり前だと、勝手に思っていました😥。調べたら日本でも2009年に学習指導要領が改訂し手話が初めて明記されるまで、フランスと似た状況だったようです。)

手話の必要性はろう者が一番わかるはず。"ろう者の視点で寄り添う"この当たり前の視点が、長い間置き去りになるなんて、考えてもみませんでした。

本作品にはろう者の姿がありのままに映し出され、想像したこともない悲しみ、痛み、苦しみがそこにはあり、それらすべてが衝撃的で、ただただ映像に見入るしかありませんでした。

ヴァンサンが残した"母国なのに外国人のようだ"という言葉が印象的。差別意識を感じるという、ろう者全員の心を代弁しているのでしょう。

鑑賞しなければ、知らなかったことばかりで、いろいろなことに気づかせてくれる作品でした。

冒頭の"三匹のこぶた"を手話で読み聞かせるシーン、とってもよかったなぁ〜
ゆめちん

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