ジャン黒糖

マイル22のジャン黒糖のレビュー・感想・評価

マイル22(2018年製作の映画)
3.2
あの『ローンサバイバー』『パトリオット・デイ』など、骨太な"オトコ"実録モノを撮り続けたピーター・バーグ監督×マーク・ウォルバーグ主演コンビ4度目のタッグによる、特殊部隊の活躍を描くアクション・スリラー。

この後に作られたNetflixオリジナルの『スペンサー・コンフィデンシャル』を含め、これで監督×主演作はいまのところ制覇!
なお本作はフィクションで、少数精鋭の特殊部隊が護送する重要参考人が実はイコ・ウワイスだった、という映画。

護送を描いた映画といえば『S.W.A.T』とか『16ブロック』、バディものでいうと『ミッドナイト・ラン』『ヒットマンズ・ボディガード』、日本映画だと三池崇史監督の『藁の楯』などがあり、いつ何時敵が襲ってくるかわからない緊張状態のなか護送したり、そのなか段々護送対象と警官の人間関係が深まったりして、この手のジャンルって個人的にも好きだったりする。
本作は、そんな"護送映画"(ってジャンルがあるかわからないけど笑)にさらに輪を掛けて護送する対象が、インドネシアの傑作アクション映画『ザ・レイド』主演の最強男イコ・ウワイスとくればまぁ「最強の男なんだから大丈夫っしょ!なんなら早く近接戦で格闘技"シラット"見せて!」となること請け合いの1本。

が、観終わってみると意外や意外。
たしかにイコ・ウワイスによる激しくバイオレンスなアクションが観られるのは満足するし、特殊舞台による銃撃シーンは緊張感がある。また、"護送映画"ならではの、街で四面楚歌の状況下でタイムリミットが差し迫るなか逃げ惑うハラハラ感も見応え十分。
ただ、観終わってみるとこの映画の目指してた焦点がボケて見えてしまったように思える。

その原因が、おそらくはマーク・ウォルバーグ演じるジェームズ・シルバのキャラ設定かなと思った。
政府による機密訓練を強いられたであろう彼は、おそらく常人の域を超えたまさに特殊部隊員なんだろうけど、ひたすらチームメンバーはじめ周りの人間を早口で捲し立てる姿くらいが印象的で、あとはコイツたしかに優秀なのかもだけど言うほど活躍しているか?と思ってしまった。。。

また、劇中なにかと挿入される誰かからシルバが尋問を受けているシーンも、監督自らシリーズ化構想していただけあって、次回作でマーク・ウォルバーグとイコ・ウワイスを直接対決させる期待値を膨らますために存在しているだけのシーンなのかな、と思った。

ただでさえマーク・ウォルバーグ演じるシルバは主人公らしい活躍は観られたものの、昔から調教受けた割りに奇人ぶりはあまり観られなかった一方、イコ・ウワイス演じるリー・ノアは、『ユージュアル・サスペクツ』や『羊たちの沈黙』『ソウ』『セブン』などをなんとなく意識させられる存在感のため、んー、、シンプルに次回にあまりワクワクしない。。。

と、個人的にはあまりノレなかった1本。
ただ、銃撃シーンとイコ・ウワイスがハリウッド映画で活躍する姿が観られるだけでも一応オススメです!
ジャン黒糖

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