river

魂のゆくえのriverのレビュー・感想・評価

魂のゆくえ(2017年製作の映画)
4.0
250周年の式典を控えたオランダ改革派教会「ファースト・リフォームド」を舞台にエルンスト・トラー牧師(イーサン・ホーク)の日記を通した省察から物語が始まる。

ある日、トラーの元を訪れたメアリー(アマンダ・サイフリッド)が、夫マイケルのカウンセリングを求めた。マイケルはラディカルな環境保護活動家で、妊娠中のメアリーの出産を望んでいない。トラーは説得を試みるが、マイケルは気候変動について熱心に語り...

美しく静謐な映像の中、イーサン・ホークとアマンダ・サイフリッドの完璧な演技に寄り添ったり、時に反発しながら最後まで楽しめた。元妻との出会いをほのめかす聖歌隊のシーンや排水管用洗浄液や有刺鉄線の使い方も上手い。

何かに囚われていくトラーと、彼との関わりで精神の均衡を保つメアリー。瞑想にも似た2人の逢瀬シーンは、壁を越えたようにも、奈落に沈むようにも見えた。危ういバランスで2人の距離がゆらぎつつ、クライマックスへと導かれる。

邦題は「魂のゆくえ」だが、「教会」という言葉は必要だったのではないか。「ファースト・リフォームド教会 ~魂のゆくえ~」のように。カルヴィン主義者の家庭で育ったポール・シュレイダーが改革派教会(Reformed churches)での物語を作ったことに意味があるのだろうから。
river

river