三樹夫

魂のゆくえの三樹夫のネタバレレビュー・内容・結末

魂のゆくえ(2017年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

フィックスで撮りカットもあまり割らず、淡々とした調子で進んでいく。そんな中でも脳みそぶちまけた自殺死体が不意に挿入されたりする。
キリスト教の映画かなと思っていたら(もちろんキリスト教の映画ではあるけど)、環境を汚染するエネルギー産業の金持ちどもを自爆テロでぶち殺してやると、主人公の牧師がどんどんテロリズムへと入り込んでいく。『タクシードライバー』の脚本家だけあって、『タクシードライバー』とのつながりを感じさせる。主人公がテロリズムに入り込んでいく決定的なきっかけは、健康診断で癌の可能性が濃厚になった時だ。なんで俺だけこんな暗黒の真っただ中にいるのかと、黒い感情が増大していき、キリスト教の教義が自身のテロリズムの正当化として機能していく。ここら辺孤独で病んで自意識が肥大化していくトラヴィスを思い出す。また主人公は、俺だったら1日で発狂しそうになる、何もない部屋に住んでいて、この部屋が『タクシードライバー』におけるトラヴィスのタクシーであり、日記をつける行為はトラヴィスのモノローグに相当する。
ラストはそばに誰かがいることでテロを止めるということで、メアリー的なそばにいてくれる誰かがいればトラヴィスも社会に向けての憎悪を発露はしないだろが、そばにいてくれる誰かに出会うことは難しいわ。

エネルギー産業のおっさんが主人公に対して政治を持ち込むのはやめろと言っていたが、主人公の教会は昔北へ逃げる黒人を匿うというもろ政治的行為を行っていたわけで、ようは都合の悪いことを言われたくないがための詭弁にすぎん。
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