回想シーンでご飯3杯いける

魂のゆくえの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

魂のゆくえ(2017年製作の映画)
3.7
中絶を否定する立場にあるキリスト教の牧師と、地球の未来を憂う余り褄の出産に反対する環境活動家の男という、相反する立場の2人が話し合うのが物語の始まり。

日本では馴染みのない題材の二乗という感じの作品だが、たまにはこういう映画を観るのも良い。逆に言えば、僕達は映画好きなのだから、他の日本人に比べて、ここで描かれているようなキリスト教圏の事情を知るチャンスに恵まれているという事でもあるはずだ。

しかも本作は、キリスト教と環境活動、双方の問題点も描いているので、決してガチガチの宗教映画ではないのだ。田舎の教会でストイックな生活を送る牧師を演じるイーサン・ホークがハマり役で、彼が環境活動家と語り合う中で、宗教の限界を感じ、思い悩むさまを見事に演じている。

監督は「タクシードライバー」の脚本を手掛けたポール・シュレイダー。全体的には静かで地味な作品であるが、メル・ギブソン監督作品にも通じるキリスト教系特有の残虐描写もあり、思いのほか強く印象に残る作品である。