現在の世界状況において確実にタイムリーなテーマ性。
差別や分断等 現実社会とオーバーラップする怖さである。
ジャンル的にはヒューマンドラマが首軸の異色作だろう。
ゾンビ映画はゾンビ自体の設定も大事だが、ソレにまた新しいモノがあり面白いだけでなく、非常にドラマに膨らみを持たせる感じになっている。
人体破壊描写は間接的でグロさも無く、ゾンビの見た目だけでもう「夜中にトイレ行けません!」レベルのホラー苦手マンでもない限り見れない事はない。
「流行ってるけど怖いの苦手ですねん…」
という人ほどオススメ出来る作品。
(ワシ自身グロ系ホラーは苦手で、そんなワシが一切ビビらず目を背けず観れましたよw)
ただし、ゴリゴリなゾンビホラーが観たいのであればコレは違う。
元々ゾンビ映画はヒューマンドラマパートが重要だったりするが、コレはその特化型で、「内容的に趣旨が違う!」とゴア描写やアクションをオミットしたのではないか?と言いたいぐらいの演出だ。
「ホラーじゃない」ぐらいに思っておいてくれて良いw
コレを書いている現在(2021/02/12)正にコロナ禍、【コンテイジョン】という作品が「まるで予言の様」と話題になったが、この作品も実は置き換えて考えると、正常じゃない世界で生きる人間の心理や感情を描く作品として非常に鋭い所を突いて来る映画だ。
(しかもこの作品だって本国ではウィルスパンデミック前の作品だからね)
…と、結構ホメて書いたが 1つだけ。
この作品、単純に映画として観ると個人的には
『そもそも派手な映画じゃないとはいえ、ちゃんとクライマックスをソコまで盛り上げたわりには、〆(シメ)があっさり味過ぎる』
という気持ちはある。
まぁエンタメ寄りな作品じゃないのでそれもアリっちゃアリか…とも言えるのだけど、個人的に"もう一声欲しい"感覚はあった。
決してダウナーなまま一切救いなく結末が訪れる作品でもないので、こんな状況下で観てもトラウマ級に滅入る(めいる)程じゃないと思う。
派手さは無いが中々の良作だ。