クルードス

CURED キュアードのクルードスのネタバレレビュー・内容・結末

CURED キュアード(2017年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

ゾンビ化した人達がゾンビの時の記憶を持ったまま治癒して、人間社会に復帰するという、このアイデアがまず素晴らしい。

更に絶妙なのが75%は回復して25%は未だに治っていないというところ。
その25%の人達の扱いをどうするかで、社会は分断してしまう。
それだけではなく、回復者達にも偏見の目が向けられる。
観ていてやはり今のコロナ禍は意識してしまう。

人を殺してしまった記憶に悩まされる姿はPTSDに苦しむ戦争ものっぽいかなと思ったが、こっちは身近な存在を無意識的に殺してしまっているので、更にたちが悪い。

前半の人間ドラマは、被差別側の立場を経験するような視点も多く、とても見応えがあった。

それでも、キャリアの無い人と回復者の普通の会話の場面で、「回復者と言ってもいきなり襲ってきたりしないのかな?接触しても問題ないのかな?」と見ているこっちが回復者を色眼鏡で見てしまったりしていて、この辺は絶妙。

後半、とある策略で回復者グループが隔離されていた感染者を脱走させるくだりがあるが、あの辺はちょっと強引じゃないかな。
回復者グループは感染者の安楽死に反対しているのに、あそこで脱走させて人を襲わせたら、感染者を殺す口実が出来るだけじゃん。

まあ映画的にはやはりゾンビパニックという見せ場が欲しかったのだろうが、ちょっと無理があると感じた。

「ゾンビ映画としてはアクションが物足りない」という意見もあると思うが、個人的には真逆で、アクションはゼロで良かったので、社会派ドラマとして突き詰めて欲しかった。