あすとろ

CURED キュアードのあすとろのレビュー・感想・評価

CURED キュアード(2017年製作の映画)
3.9
愛する者がゾンビに殺されたら?
愛する者がゾンビになってしまったら?
あなたは人間に戻った彼らを信じる事は出来るか?

ゾンビウイルスが蔓延し混乱状態になったアイルランド、そしてゾンビウイルスの治療法が確立され75%の者が“回復者”として社会復帰できるようになった。
だが非感染の市民達は回復者達の社会復帰に反対し抗議デモが増え虐げらる、やがて回復者である主人公セナンも虐げられ回復者達が非感染市民達への反発も強まり“恐怖”という名のパンデミックが広がるゾンビ映画にして社会派の人間ドラマ

2017年製作ながら日本ではコロナ自粛前の4月に公開だったのですが、配給会社は本当に良き絶妙なタイミングで公開してくれた!
まさに今、コロナにかかり回復した人間や家族に歪んだ正義で危害を加えたりネットで誹謗中傷したりする自警的な行動が増えている状況がまさに本作の内容と酷似しすぎていて最初から最後まで本当に危機感を持って観れた。

主人公のセナンも両者の“正義”に揺れ動く姿だったり、ヒロインのアビー含めた非感染者側の恐怖から生まれる回復者の排除運動や逆にセナンの友人であるコナー含めた回復者側の排除から生まれる非感染者側への報復など信じきれないからこそ生まれる否定する情勢の描き方は生々しくしっかりメッセージとして刺さってきました。
また観ていると実は回復出来ず隔離されている25%の感染者の方がより人間らしく感情移入してしまいます。
「ゾンビに襲われたくない、でも襲われても仕方ない」と思ってしまうほど一概に“人間は正義でゾンビは悪”と決めつけれない程、人としてのモラルの問いと脆さを突いてくる丁寧に上手く作られた作品でした!

コロナでのパニックを経験したからこそ今を生活する人の心に訴え、突き刺さる本作。
観る事を強くオススメします!
是非ご覧あれ!
あすとろ

あすとろ