前作は役所広司演じる清濁併せ呑んだ大上刑事の悪人ぷりが何より印象的だった。
が、今作にはその大上刑事はいない。代わりに、強烈な印象を残しているのが、鈴木亮平演じる上林だ。
ルールや常識など一切無視して思うがままに生きる横暴さ。
理不尽な暴力を平気で振るう恐ろしさ。
時折、覗かせる心の闇。
とにかくすべてが圧倒的でギラギラした魅力に満ち溢れている。
この存在感は、ちょっと凄まじい。
一方の主人公である日岡は、大上の血を継いだと言っても、どこかにやさしさや優等生っぽさを残している。
よく言えば「いい人」でしかなく、悪く言えば「詰めが甘い」。
だから、日岡は、上林によって簡単に追い詰められていってしまう。
警察も彼の味方ではなく、彼は孤立し、ギリギリの縁に立たされもする。
そこで見せる変貌が、これまた上林に負けず劣らず凄まじかった。
前作もそうだが、今作もやはり、日岡の覚醒を描いた物語なんだな、と強く思わされた。
一作目とはまた違うニュアンスで、前と後とを演じ分けた松坂桃李も素晴らしい。
