ぼのご

孤狼の血 LEVEL2のぼのごのネタバレレビュー・内容・結末

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

前作より更にバイオレンスシーンがえげつなくて、まさにLEVEL2。

眼球に指を突っ込むような開けっぴろげな暴力描写には本能的に震えてしまう程で、特に驚いたのは瀕死の人間がカサカサ動いている場面。殺したと思った後にあんな場面を映す映画を観たのは初めて。動いているの見てヤクザの方も「人間の生命力は凄いのぉ〜」とか言っちゃうし。また性描写は一切無いけど、暴力に付随して当たり前のように性的暴行が加えられていることが会話からわかるように撮られていて、勝手に想像力が働いちゃうから余計にキツかった。

こういう常軌を逸した行為をしていく上林のキャラクターが異常に強烈。単純に狂っているというわけじゃなく、幼少期の出来事に原因があったり、組長の仇だったり、一つひとつの行動の背景がきちんと描かれていた。本来ならこういう描写があると人間性がわかって多少は親しみも覚えるものだけど、上林の場合なんというかとにかく怖過ぎて、背景描写があることによって実際に存在してもおかしくない人間に思えてくるからかえって絶望感があった。これを演じ切った鈴木亮平の怪演っぷりに舌を巻く。

日岡に頼まれて上林にスパイとして近付き、一時は恐怖で揺れ動くも「あんな奴ら野放しにしちゃダメだ」と結局は最期まで自分を貫いたチンタも凄い。凄過ぎた。僕には完全にヒーローのように見えたけど、勝てるわけがなかった。

上林に負けず劣らず恐ろしいのは、邪魔な日岡を消したいというだけの理由で上林の罪を隠蔽し、こんな危険な人間を野放しにした警察上層部。刑務所で世話になったという看守への報復で妹が狙われた際、証拠が残っていたのに…。汚い大人の権化みたいな嵯峨の存在感も際立っていた。
看守も看守で、問題ばかり起こす上林を早く厄介払いしたいが為に模範囚と上に報告して早期の出所に繋げていた辺り救われない。社会の汚さが上林のような人間を作り出し、事態の悪化を招いているように感じた。

日岡は大上の意志を見事に引き継いでいたけど、大上に比べて自分が守るべき市民との交流が圧倒的に少ないのが気になった。まともな交流があるのはスパイに使っているチンタの家族くらい。大上より孤狼になり切れていないのに孤軍奮闘な印象があるのは恐らくこの辺りに起因していて、一番慎重にならないといけない筈の局面で心が折れて得体の知れない相棒に気を許してしまったことにも繋がったと思う。
ただその失敗がきっかけで記者を利用するようにもなって、上林との対決で全てを清算出来たから無駄ではなかった。左遷で田舎の駐在になってからは守りたい人たちを再認識しただろうし、続編があるとしたら相当強かになっていそう。

こんなにどぎついバイオレンスシーンのある映画の入場特典に、キャラクターのトレーディングカードを配布しているのが悪ふざけのように感じて笑える。嵯峨と上林入ってました笑
ぼのご

ぼのご