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孤狼の血 LEVEL2のもものレビュー・感想・評価

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)
3.4
いい加減、実録映画を模倣するのはやめたらどうかね?
タランティーノみたいに独自のスタイルを確立してる監督がオールドスタイルを真似るのなら様になるけど、白石監督の模倣は凡庸さや地力の足りなさを隠すためのカモフラージュにしか見えない
そもそも実録映画というものがお手本にするには不備の多い様式であり、いい例が尾谷組事務所を襲撃するシーンである
実録映画は銃撃戦をきちんと描かない(描けない)ので、フォロワーである白石監督もどうしていいかわからず、手探り状態で演出しているのが伝わってくる
あと上林がヤバいとか怖いとか言われているわけだが、よく考えるとこいつは終盤まで一度もまともに戦っておらず、無抵抗の相手をリンチしているだけであり、強そうに見えるのは何故か誰も反撃しないからである
特に数で勝る角谷(寺島進)が反撃しないのは極めて不自然で、たぶん監督は「でもリアルで急に襲われたら対応できないのが自然だよね」みたいなことを考えているのだろうが、現実の平成初期の抗争では襲撃に対して拳銃で応戦している事例が非常に多いので、リアルを無視しているのは白石監督のほうである
結局、銃撃戦を描くのが苦手だからリンチに逃げているだけであり、そのようにして作られた上林の怪物性も茶番めいたものに感じる
あと真緒絡みのシーンのウェットな演出とか、シュールなわりに絵力の弱いラストシーンとか、昭和の悪習をご丁寧に受け継いでるよな
まあ俳優と脚本は頑張っていたと思う
もも

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