ぐるぐる映畫

search/サーチのぐるぐる映畫のレビュー・感想・評価

search/サーチ(2018年製作の映画)
4.7
いやぁ…これはヤバいな…
久しぶりに喰らっちゃいました。
今のところ自分の中の今年No. 1ムービーです。

ストーリーはサスペンスもののはずなのですが劇中に何度泣いた事か…
鑑賞前はアイデア先行だけのモノを想像していたのですがそれを上回るほどの素晴らしい脚本と演出でした。

人間の視覚の脳への情報量は8割で聴覚は僅か1割程度と言われています。
そのせいかスクリーンに映る多量の情報が視覚から脳へダイレクトにくるので感情や心情が痛いぐらい伝わってくる。
冒頭の娘が成長していく過程から
もうこっちは泣いてるんですよね(笑)

「カールじいさんの空飛ぶ家」や「トレイン・ミッション」の冒頭のような人の人生を映像で振り返って見せる系に自分が弱いってのもあるのですが視覚へ直接訴えてくるのでたまらなかったです。

そして劇中で娘とのメールでのやり取りがあるのですが、一度打った文字を消しては打ち消しては打つこのやり取り。
共感できるというのもあるのですが、絶妙な間で行われているので感情がひしひし伝わってきて一般的な映像より、一層感情に深みが増していたように感じました。

確かにこの脚本ならなにもPC画面にこだわらなくてもいいんじゃないか?という気もしなくもないのですが、このシステムにした事で画面以外の情報が見えなくなるので先の見えない不気味さが一層増しサスペンス性が高くなっていたように思えます。

そして、画面外の情報が無い分、画面内の情報量というものが多量にあるので最小限の台詞で次の展開へ行けるという事も可能になり、伏線回収の部分では我々が普段ネットやニュースなどで何気無くチラッと目にし、ふと何かのタイミングで「そういえば…」と思い出すような微かに思い出す程度の情報ってありますよね?
そのような微かな記憶程度に抑え
より自然な伏線を張る事がこのシステムのおかげで可能になっています。
これだけで充分このシステムの意義というものがあるんじゃないかなと思います。

伏線が自然なので全くいやらしくなく下品じゃなくなるので、それが回収された時の気持ち良さが心地いいんですよね。なんか洒落てるんですよ。そして無駄が無い。

最後の伏線回収も素晴らしかったです。
そのラストの回収は今まで画面越しでしかコミュニケーションを取ってこなかった父親と娘が始めて画面の壁を越えて繋がった瞬間だったので涙が一気に溢れ出してヤバかったです…これはたまらなかった。エンドロール中に涙を抑えるのに必死でした(笑)

親は子供の事を100%理解しているとは言い難い。それが現代ならSNSという誰でもどこでも繋がれるツールがあるので余計に闇が深くなり子供の事を把握出来ず理解も出来なくなる。現代だからこそ描けるものだと思うし実際に今の時代なら起きてもおかしくはない事件なのかもしれません。

いやぁ…これは泣かされた泣かされた。
間違いなくオススメの一本です。