へいゆ

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search/サーチ(2018年製作の映画)
4.8
SNS中毒のヤロウドモすべてに観てほしい良作。

すべての描写がPCスマホのウインドウの中で表現され物語が進んでいくって予告編みたときから「げー2時間飽きそう」と思っていたけれど侮っていた。マウスの動きや速さ、書いては消すチャットメッセージのその表現や行間に「あるある」を感じることができ、表情やセリフがなくてもこんなに登場人物の心理が理解できるなんて想像してもいなかった。それは自分がいかにネットやSNSにまみれて日常を送っているかということを証左しているのだろうな。

オープニングが圧巻。娘の小さいころ~失踪事件が起こるまでの10年間くらいをPCのなかのデータだけで振り返るんだけど、このシーンがこの映画の見方を示してくれる良いチュートリアルになっている。加えてこの家族の置かれている状況や主人公への感情移入もうまく誘導していて一気に引き込まれた。このオープニングだけで短編一本観終わった感覚だ。

脚本もうまく、サスペンス的伏線回収型の二転三転どんでん返しあり、ただの「新しもの好き斬新表現映画」の域を越えてると思う。

ネット社会における観る側の経験に基づく「あるある」(本当の友だちが誰なのかわからない、とか被害者なのに誹謗中傷されるとか)を映画の中に散りばめて鑑賞者を没入させるのに加え、GoogleもFacebookもInstagramもTwitterもfacetimeも現実サービスそのままの名称で出るのもリアルさを増幅させる。

観終わってその日のうちにFilmarksにレビューあげたりインスタに写真あげたりする日常がこの映画のあらゆる画面と地続きになる感覚。フィクションなのにSNSのどこかでこんなことが起きているんじゃないかと錯覚するような感覚になるなあ。

社会学的な考察が楽しい映画である。
へいゆ

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