Akiyoshi

search/サーチのAkiyoshiのレビュー・感想・評価

search/サーチ(2018年製作の映画)
3.8
映画全編をPCの画面だけで構成するという視点を用いたお話。主人公の娘が失踪し、それを父親が探すというのが基本的な話だが、その物語自体がよく練られていて、複数回のどんでん返しがあるミステリーになっている。PC画面にてクリックすることを迷うシーンなどで動揺を表現する技法も感情を読み取りやすくできていた。

Twitter、Instagram、Facebookなどから様々な情報が飛び交い、SNS全盛期の今だからこそ分かる「その時、何をしていたか」がさらけ出される。SNS以前の時代であれば、残された手紙や日記などで失踪した人物の痕跡を辿ることになるが、本作ではそれがすべて、ネットワーク上に点在するテキストや動画、写真によってなされているのがキモで面白い。

PCの外側のリアルな世界ではなく、内側に残された情報から素顔がわかってくるという皮肉は現代らしい。心の声=SNSを通して発信されている時代になっているために親が知りえてない子の姿が分かる。本作では内側(SNS)に籠らず現実と向き合うことが大事だよという説教くさいメッセージ性よりもネット社会全盛期の今だから描けるミステリーの在り方を提示した。
Akiyoshi

Akiyoshi