この作品は、全てがPC、スマートフォン、YouTube、SNS...といったものを通した映像・画像で構成されている点がとても斬新な作りとなっている。
(まぁ、映画自体がスクリーンを通じて観ているわけで、リアルなものではないけれども。)
なのに、不安、怒り、混乱、といった感情や、人の心理が、こちらに伝わってくるのはなぜだろう。
静止画でさえ、強烈に感情を発していた。
むしろ現代人はこういう何かを通したものでこそ、いや、もしかしたら、このようなものでしか、その本当の感情を表すことが出来なくなってるのかもしれない。
特に、タイピングの入力と削除、送信、そういった動きから父親の心情を表している演出が秀逸だった。
保存、削除、アップロード、検索、パスワード、エントリー、脱会、更新、等々。
僕らが普段当たり前のように生活の中で繰り返している行為が、ストーリーの柱として上手く組み込まれており、そんな小さな平面の四角の世界の中に潜んでいる大きくて深い闇を表現している「今」な映画。
だからこそ。
テレビではなく、スクリーンを通して"体感"した方が、この作品の不思議な空気感をより掴むことができるのではないかと思う。
あ、でも、PCでもう一度観たら、また違う感覚なのかもしれないなぁ。。。
