さよこ

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search/サーチ(2018年製作の映画)
4.2
やられたーーーーー!
なんていうかゲームに例えるなら、1回エンディングを迎えたのにボーナス・トラックで別の〇〇なエンディングを見せられた感じ。それだけインパクトのある終わり方だった。最高の大どんでん返し。ナイス脚本✨

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①画面から伝わる父親の葛藤
娘へ送るメッセージを書いては消し、書いては消し。無断外泊した娘への憤りをぶちまけるのかと思えば全部消去して感情を抑えた当たり障りない文章を書き上げる父。スクリーンに映っているのはただの文字の羅列なのに、その動きだけで父親の感情が映し出される。一見、無機質になりがちな絵面なのに心理描写をするのは演出として見事だと感じた。娘の動向を探るべく父親が娘のSNSアカウントを次々見付けてアクセスする姿は、まるで自分も父親と同じく覗き見の共犯になったようでドキドキした。

②SNSの足跡
こうやってみると人の生きた足跡なんてものはいとも簡単に繋ぎ合わせて集約させることができてしまうんだなと思った。映画『ザ・サークル』とは違った不気味さだった。インターネットを利用する限りどこかに足跡は残るし、それが例え装飾された自分だったとしても、これが『自分』と認識されてしまんだろう。というより家族に自分の赤裸々なところを見られたと知ったらあたしが娘なら恥ずかしくて逃げ出したくなってしまう。

③狂気と正気の狭間
娘が単なる無断外泊ではないと気付いたあとの父の余裕のなさっぷり。狂気と正気の間をぶんぶん行き交いする。その切羽詰まった態度に胸がぎゅっと苦しくなる。父は父なりに不器用な愛情を持っていて、母親は母親としての深い愛情を分かりやすく子供に伝える。これはいわば母と父の愛情勝負の話でもある。

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IMAXや4Kなど映画業界がクリアな映像を目指している中、ガラケーで撮ったようなザラザラな質感、焦点の合わないブレブレの映像。これらが全部、本編の世界作りに一役買っている。パーフェクトな作品。
さよこ

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