ひろゆき

search/サーチのひろゆきのレビュー・感想・評価

search/サーチ(2018年製作の映画)
3.5
銀幕短評 (#174)

「search /サーチ」
2018年、アメリカ。 1時間 42分、公開中。

総合評価 69点。

原題は、“searching” と 進行形。
終始PC画面をつなぐアイディアはとてもいいし、それを映画全体で 要所要所のテクニックにうまく落とし込んでいる。

“サーチ” は、親が子を “捜し求める” さま、そのためにインターネットを “検索” し続けるようす、の双方を示している。

米カリフォルニア州 サンノゼ(いわゆるシリコン バレー)に住む家族のうちの年頃の娘が ある日前ぶれなく ふっといなくなる。父親はあらゆる情報手段を尽くし 自分の職業上つちかったネットスキルを活かして、愛娘(まなむすめ)の行方を追うが時間はどんどん経っていく。娘は無事に見つかるのか。

この映画の音楽はうるさい。どきどきする場面で 大音量でどきどきさせる効果音を流すから 余計にドキドキする。それが何回もあるので、もうやめて、と思う。


デジタルネイティブ(DN)、というコトバがあって、生まれて ものごころがついたときに、すでにPCやインターネット環境が整っていた、という若い世代のひとをこう呼称するという。この父親はDNではないだろうが、完全なネイティブのように デバイスとアプリを使いこなす。

それに倣(なら)っていえば、わたしはデジタル・ネアンデルタール人(DN)であった。就職したときは、計算は電卓だし(大規模処理用にはオフコンを使ったが)、作表は鉛筆手書きだし、海外事務所との連絡は悠長にファックスだった。

しばらくしてノートPCが初めてNECから発売されると、うちの事務所は真っ先にひとり一台の体制を導入したが、表計算や文書作成などのアプリケーションソフトを毎回3.5インチのフロッピーディスクからカリカリと立ち上げるというシロモノだった。ほどなく事務所内部のソフト開発で、統計的な回帰分析やサンプリング処理など高度な手続を簡単にできるようになって感銘したのを覚えている。

わたしのSNS達人度をいえば、いまのところ、ツイッターは1ヶ月に一度くらいはアクセスし(宇多田ヒカル、椎名林檎、デーブ・スペクターをフォロー)、インスタグラムは花束を買ったときに毎度アップ、LINEは妻から買い物の指令があるときに、フェイスブックとフィルマークスは毎日チェックするし積極的に投稿する。これだけ使いこなせるのだったら、クロマニヨン人くらいを名乗っていいかもしれない。

スマホや携帯電話などが まだなく、家の黒電話同士で、あるいは家族を気にして公衆電話から 女の子に長電話していたむかしの情緒は、それはそれでよかったな。デジタルネイティブ世代は、そういう もどかしい切なさを知らないのだ、かわいそうに。
ひろゆき

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