マクガフィン

search/サーチのマクガフィンのレビュー・感想・評価

search/サーチ(2018年製作の映画)
3.5
冒頭の他人のプライベートを覗き見しているような映像を勝手に見せられるようで、うんざりする。PC画面同様に映像がひたすらフラットに映る。

PCモニターのみの映像で展開する作品で、吟味された構成とアイディアが面白い。冒頭ほどの映像の平坦さが無い、PC画面を通してミステリーサスペンスに仕立てる、斬新な演出方法に感心する。

娘の失踪を追う推理は、父親のネットでのPCサーチに。SNSなどの情報を結び付けていく必死さが、娘への愛情に繋がり、画面の平坦さと対比的な父親の熱量の高さが上手い。SNSを切り替えることが、場面を切り替わることや、一端リセットする役割もあり効果的で、父親の右往左往するが停滞しない軽妙なテンポに引き込まれる。カーソルやデリートにより心情描写も、この映画ならではに。

SNSだけの繋がりの風刺やメッセージだけでなく、アメリカの失踪事件の問題に切り込むこともあるが、物語のテンポに全く邪魔にならない程度なこと良い。一見、仲睦まじく見える親子関係も、SNSに頼りすぎていて、面と向かって話すことの希薄さなど、父親と娘の関係性を徐々に炙り出さすことが印象的に。

只、何気ない会話も殆ど無く、B級映画的な〈遊び〉もないので、伏線の違和感が犯人に結び付き、早い段階で犯人が分かることに。謎解きサスペンスとしては弱いのが問題で、被害者と加害者の親子の対比も弱い。終盤の2段構成の盛り上げ方も、その辺で評価が分かれるだろう。

父親の妻の死による喪失の解放があるが、より喪失が大きい、娘の解放が無いのは問題では。どうしても娘の父親に対する心情が少ないが、生命の危機に父親に電話することが一番頼りにしていることであり、それが父親の捜索のトリガーになっていた、さり気ないことが印象に残る。