あしたか

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search/サーチ(2018年製作の映画)
4.2
[あらすじ]
忽然と姿を消した16歳の女子高生マーゴット。行方不明事件として捜査が始まる。娘の無事を信じる父デビッドは、彼女のPCにログインしSNSにアクセスを試みる。そこに映し出されたのは、いつも明るく活発だったはずのマーゴットとはまるで別人の、自分の知らない娘の姿であった…(dTVより)


ハラハラ度★★★★☆
泣ける度★★★★☆

『アンフレンデッド』などと同じ"全てがパソコンの画面上で展開される"映画。画面がゴチャゴチャして分かりづらかったあちらに比べると、こちらは色々と工夫がされていてかなり見やすい。
後半はパソコン画面という縛りをやや飛び越えていた気もするが、まあ許す。

導入部分で流れるように世界観をコンパクトに説明するおかげで、キャラクターへの感情移入の準備はバッチリ。サスペンスであると同時に、父・母・娘の3人に関する家族ドラマだということが分かる。
また、パソコン画面上ながら、「文字を打ち込む⇒投稿するのを躊躇い、消す」という描写を挟むことで感情を表現する高等テクまで見せる。マウスカーソルの動きについても同様だ。序盤から良い伏線が貼られている。

Twitter、Instagram、Facebook、tumblr、ライブ配信サイト、Googleマップ…等々あらゆるツールを駆使して娘に関する情報を集めることになる。
思いがけない情報が次々と明らかになるので、全く目が離せない。密度が非常に濃いため、集中して見る必要がある。

あらゆる手段を駆使して調べ上げる父親の熱意は印象的な一方で、親は意外に自分の子のことを知らないということがわかる。これも裏返せば今作品の"親子の愛情"というテーマに繋がる。

全編通して盛り上がりをキープし、中弛みもない。特殊な舞台設定が良い方向に働いている作品だ。
後半のある重要なシーンは鳥肌が立ったし、終盤の伏線回収の嵐にまた鳥肌が立ってしまった。実に高クオリティ。

エンディングについては、パソコン上の文字をただ見ているだけなのに涙を流しそうになった。見事だった。
基本的にはサスペンス劇にハラハラしていた筈なのに、見終わってみると100分間のホームドラマを見たかのように錯覚してしまう。それくらいサスペンス要素と家族ドラマ要素が両立していた。そういうお得感を与えてくれるのは、良い作品の証左だと思う。


P.S. ただでさえ字幕量(画面の情報量)が多いので吹替版を推奨します。
あしたか

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