原題はLa vérité
英題はThe Truth About Catherine
フランスの大女優ファビエンヌは自伝『真実』を出版する。しかしそこには「真実」ではないことが綴られている。「私は女優だから本当のことを書いてもつまらないでしょ」とファビエンヌは嘯く。ファビエンヌを支える家族や仕事仲間について、そしてなにより今は亡きライバル女優サラについての記述がないことに娘のリミュールは怒りを露わにする。そんな渦中に、ファビエンヌはサラの再来と言われる若手女優と共演をすることになる。
人には言葉にできない、したくない過去の出来事やエピソードがある。言語化せぬまま心の奥にしまっておきたいことがある。
一方で、大切な思い出だと思っていたことがどこかのタイミングで美化され、上書きされていることもある。
記憶なんてあてにならないものよ
とファビエンヌは言う。
大女優ともなると感謝も謝罪も簡単なものでなくなるのかもしれない。
終盤になるにつれファビエンヌが女優から一人の女性に見えてくるのだから凄い。
伝えたいことを伝えるためであれば、もしかしたら台本があってもいいのかもしれない。何を持って真実なのか、この映画は考えさせてくれた。