あったかいなぁ…。
好きな是枝作品、空気人形に次いで2位に見事に入りましたありがとう…
大女優が綴った自伝本
周りが求めていた事実は書かれていなかったかもしれないけれど、ファビエンヌ自身が「書かなかった事」は、即ち"言えない事"であり、そこには過去の過ちや後悔、嫉妬、向き合えない事実が隠されている。
その、書かなかった事そのものが、彼女を形成していてそれが"真実"なんだと思った。
沢山の言葉にできない想いを秘めて生きてきたのが大女優であり母・ファビエンヌなんだと。
それを目の当たりにした周囲の人は「なんで嘘ばかり書くんだ」と意図せず彼女の"真実"と向き合うこととなる。
出版と撮影という絶好のコミュニケーションの場で、言えなかった事、忘れていた過去、隠していた事が次第に紐解かれていく構図が素晴らしく、脚本練り練りマンの是枝さんらしい緻密さが伝わってくる。
そしてこれまでの是枝作品にない程、軽やかでほっこりするストーリー。お庭の光景がすごく印象に残っているけれど、緑いっぱいの木々が物語が進むにつれてオレンジ色に色付いていく様は、作品まんまだなと。
そして細かなシーンも好きなのが多い
・リュックの返事がなくて「もう死んだの?」からの一連の流れ
・思わずワイン飲んじゃうイーサン・ホーク
・リミュールに寝なさいと言われて喧嘩してる大人たち一人ずつにキスをしてくシャルロットのカット
・そのあとダイニングで食べ続けてたシャルロット
・大女優のプライドが崩れそうになっている中、イーサン・ホークの呑気なギターと歌声が聞こえるシーン
・仕事ボイコットしてクレープ食べに行こうとする子どもみたいな大女優
カトリーヌ、是枝さんが困っちゃうくらい結構アドリブかましてくるらしいけどどこがアドリブだったのか隅々まで見てみたい…!
そして入院したって前にニュースになってたけどいつまでも元気で演じて欲しいな…。
カトリーヌドヌーヴが大女優という設定の時点でありがとう是枝さんという気持ち。そして何より終盤のリュミール作の脚本のセリフは、観る人皆深く頷くんじゃないだろうか…