すとんこ

真実のすとんこのレビュー・感想・評価

真実(2019年製作の映画)
4.0
パンフレット所有(820円)

大女優ファビエンヌ(=カトリーヌ・ドヌーヴ)が、キャリアの晩年に差し掛かったことを機に、自伝本を出版することに。タイトルは「真実」。この本の内容を巡り、母と娘の″真実″を追及する諍いが勃発するって話☆

「わたしの後継者?フランスにはいないわ」
「自分と映画、どっちが好きか?わたしが出てる映画がすきなの」
このように万事が万事、この調子の大女優ファビエンヌ。

女優道を邁進するためなら他人のことは二の次、三の次。

自伝本の内容が真実を何も語っていないことを娘のリュミール(=ジュリエット・ビノシュ)に追及されるも、
「真実なんて退屈だわ」
と一刀両断。ここまでくると不快を通り越して痛快。

さらに
「わたくしのことが一行も書かれていないなんて、人生を否定されたも同然。辞めさせていただきます」
と長年付き添ってきた秘書のリュックが去っていったものだから、リュミールがファビエンヌの面倒をみることに。

わがままに気ままに生きてきたファビエンヌと、母を否定することで生きてきたリュミールの奇妙な共同生活を通して、徐々に変化が現れてきます。

リュミールの旦那のTV俳優・ハンク(=イーサン・ホーク)を始め、様々な男たちがこの二人の女モンスターに翻弄されていく様が楽しい(金をせびりに来た元夫は、自伝本内では死んだことにされている)。

本作上映後に、是枝裕和監督のトークイベントがあり、撮影裏話や大女優カトリーヌ・ドヌーヴの素の姿のお話が語られ、とても興味深く有意義な時間が過ごせた。監督とイベントを開いてくれた劇場に感謝。

真実なんて曖昧なものだし、受け取る側によって都合よくねじ曲げられるものなんだなと感じた一本(* ̄ー ̄)☆



○キャスト○
ファビエンヌ・ダジュヴィル:カトリーヌ・ドヌーヴ
リュミール:ジュリエット・ビノシュ
ハンク・クーパー:イーサン・ホーク
アンナ・ルロワ:リュディヴィーヌ・サニエ
シャルロット:クレモンティーヌ・グルニエ
マノン・ルノワール:マノン・クラヴェル
リュック:アラン・リボル
ジャック:クリスチャン・クラエ
ピエール:ロジェ・ヴァン・オール
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