家族にとっての向き合うべく"真実"とは。フランス陣で固めた日仏合作。洋画で是枝監督が"家族のカタチ"と"亀裂からの和解"を描けばこうなる、という観点ではややチャーミングで面白かった。全体的にシナリオ動向より人物の起伏や揺れ動きに振り切ったため詩的で噛みドコロが結構薄い。かと言って敷居が高い印象も受けず受け取り手のイマジネーションを働かせる部分もある。パリが舞台とは思えないほどの薄味さは良くも悪くも漂っていた。深い人間観を合わせ鏡のように映し出しているようにもとれる。是枝監督自身の本作に賭ける想いがどうだったかはさて置き、作り手の情熱や台詞のニュアンスなど細部まで心配りを感じさせる特殊な映画だろう。本作を経てまだまだ是枝監督のポテンシャル、更なる"深化"を次の作品でも心待ちにしたいと思う。