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GODZILLA 星を喰う者のdaisukeookaのレビュー・感想・評価

GODZILLA 星を喰う者(2018年製作の映画)
3.0
映画「GODZILLA 星を喰う者」

第1部「怪獣惑星」からして異色の出来だったけど、ここまで来るとは思わなかった。「最強とは何だ?」を突き詰めた結果、ゴジラの物語は本当の意味で地上を離れ「宇宙」に飛び出してしまう。

とにかく「ギドラ」の造形美が圧巻。前2作で圧倒的な情報量で描かれたゴジラ・アースの、まさに「次元を」越えてギドラの凄さが描かれる。

怪獣モノもヒーローモノも、マンガやアニメや実写CGで、どんどん「強さインフレ」に陥っていく。そのインフレ満載な強さをどう引きずり下ろすか、これをパワーやハイテクなどでなく人間ドラマで押し切った。SFを越えてファンタジーまで飛んでいるような状況をさらに押し返すのが「人類」の根性。

取っ組み合う人型の向こう側で止めを刺すのはギドラかゴジラか。本作は視覚もさることながら聴覚が気持ち良い。ギドラの飛来音、ゴジラの咆哮、双方が繰り出す破壊の轟音、自然音や民俗音に電子ノイズまで何百層にも重なって、言い知れぬ音圧が観る側を圧する。見る前にちょっとローだった気持ちが、その轟音に押し潰され揺さぶられ跳ね上げられて軽くなる。現代社会で破壊を合法的に堪能してスカッとできるのはこんな時だ。それだけのためにでも、この映画を愉しむ価値はある。
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