このレビューはネタバレを含みます
自分も怪獣バトル期待派ではあったものの、すかすかしながら宙に浮かぶふんわりゴジラが予想外にかわいくて、まあもういいかなって。
虚淵作品の中で個人的に好きな要素である使命や欲望のために存在として人を越えていってしまう主人公像というのは味わえたし、人としてゴジラを倒したい教の伝道者である主人公とメトフィエスの対比を思うと二人が別れる時に流した涙もじんとはくるのだけれども、いかんせんこうした人間ドラマの部分ばかり予想通りで、なのにゴジラと聞いて期待したものについてはいくらか肩透かしが続いてしまった感が否めなかったので、そういう部分でゴジラじゃなくてもよかったのではと言う人の気持ちもわかってしまい、手放しで良かったと言ってあげられないこのもどかしさ。
また、これは直接今作とは関係ないのだけれども、直近で2001年宇宙の旅の再上映があったために、同じSFなのにプロットについてまるで語らないあの手際の良さを思い出してしまったあとでは、どうにも今作の語り口が野暮ったく思えてしまって。
たしかにギドラの設定などはああして外野が丁寧に説明をしてくれる頭文字Dや弱虫ペダル方式でないとせっかくの楽しさが減じてしまうという親心はわかるし、まず伝わってこそのエンターテインメントだというのは重々承知なのだけれども、モスラもギドラ的存在であるところなんかはきちんと表現として見せてくれていたのだから、あと少し映画館の魔力みたいなものを信じてみても良かったのかなとも。偉そうに。
