ユースケ

GODZILLA 星を喰う者のユースケのネタバレレビュー・内容・結末

GODZILLA 星を喰う者(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

【魔法少女まどか☆マギカ】や【PSYCHO-PASS】の虚淵玄が脚本を書き上げ、【シドニアの騎士】の静野孔文と瀬下寛之が監督を務めたアニメーション版【ゴジラ】(通称:アニゴジ)3部作の完結編である【ゴジラ】シリーズ第32弾は、1作目ではニセモノのゴジラの駆逐によって希望を与えられ、ホンモノのゴジラを登場によって絶望を与えられ、2作目ではメカゴジラの登場によって希望を与えられ、メカゴジラの破壊とヒロインの死によって絶望を与えられ、希望と絶望の繰り返しに追い詰められた主人公を闇堕ちさせるために、メトフィエスがメフィストフェレスとしての本性を表し、キングギドラを召喚させる【魔法少女まどか☆マギカ】同様、虚淵玄のヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの【ファウスト】への愛情が炸裂したアブナイ一本。
語感で匂わせたメトフィエス=メフィストフェレスを確定させるメトフィエスが信仰の力でアダム・ビンデバルト少尉を騙すシーンは、ルシファーがアダムを騙すシーンのパロディになっていますが、メフィストフェレスがルシファーのパロディだとわからないとわからないと思います。そうです。本作はわかる人だけわかればいいスタンスの作品なのです。

とりあえず、キングギドラはゴジラに噛み付くだけだし、モスラは主人公の精神世界に一瞬登場するだけだし、ゴジラは倒せないし、ヒロインは生き返らないし、挙げ句の果てに主人公は自決してしまいますが、本作は虚淵玄版【ファウスト】である事と地球に憎しみの感情が残らないようにゴジラに特攻を仕掛けて主人公が自決するラストシーンが、戦後の日本に戦争での憎しみの感情が残らないようにゴジラと共に芹沢博士が自決した初代ゴジラのラストシーンにオマージュを捧げている事に気がつけば…やっぱりそんなに面白くないよね。

核実験や環境破壊など、人類の愚行によって怪獣は生み出されたのではなく、人類は怪獣を生み出すために愚行を行い、人類はゴジラという究極の生命を生み出すための前座に過ぎないと語るシーンや「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」というアーサー・C・クラークの名言を引用し、宗教は未解明の科学であり、数学的帰結として高次元の存在=神の存在を立証したと語るシーンはたまらなかったです。