horahuki

リビング・デッド サバイバーのhorahukiのレビュー・感想・評価

3.4
大っきなお部屋でひとり延々と暇つぶし♫
ゾンビパンデミックの中、ひとり生き残っちゃった主人公がドラム叩いたり、ネコと戯れながら一人暮らしを満喫する系の終末ストーリー。

フランス産ゾンビ映画です。
それほど評価高い作品じゃないし、クソダサ邦題つけられてポンコツ臭ぷんぷんですが、結構面白かったです!ちなみにジャケとは印象が全く違う静かな作品でした。

あらすじ…
元カノに返してもらうの忘れたテープを取りに来た主人公。元カノが大勢でパーティやってて鬱陶しかったから、部屋でひとりテープを探してるウチに爆睡。朝起きて部屋から出ると誰も居なくなっていた。しかも壁には血がべっとり。外を見るとゾンビが人を襲っていて…。

『地球最後の男』のような映画。あっちはひとり生き残った男が迫り来る吸血鬼と戦い続ける話で、価値観の逆転を描いていましたが、本作は本当に毎日暇つぶしをするだけ。外にウジャウジャいるゾンビを観客のようにして無駄にうまいドラムを演奏したり、広いお部屋でジョギングしたり、ゾンビを的に射撃を楽しんだり。

外に一歩も出ることが出来ず、部屋でこれからもずっと永遠にひとりで暮らさなければならないってめちゃくちゃ怖いですよね。そりゃあ、閉じ込めたゾンビとお話ししたくもなりますよ。もちろん会話は成立してないけど…。そんで、居なくなったゾンビたちを寂しいからあえて呼び戻したりとかしちゃう気持ちもわからんでもない…。そういった孤独であることの恐怖から、主人公が段々と正気を失っていく姿を描いた作品です。

そんで、詳しくは描かれませんが、恐らく主人公は人付き合いが苦手で自分の殻に閉じこもって今まで暮らしてたんだと思うんですよね。だから、大っきな部屋にひとりで閉じこもり、外に出て他の生存者を探しに行くことを極端に嫌がる。食料もそれなりにあり、趣味のドラムもあるし、ジョギング等適度な運動もできるから、この部屋だけで全てが完結している。

この部屋は恐らく主人公の孤独な心を象徴するもので、他者との関わり合いを避け、自分の殻の中に閉じこもり生活している彼の日常をゾンビパンデミックと関連づけて描いた作品でもあるのではないかと思いました。途中で出てくる人なんて、変わりたくない自分と変わらないといけないと思う自分の葛藤のようだったし。

そんな感じで、ゾンビとの攻防戦はほぼなくて終始地味な映画ですが、フランス産らしくオシャレな雰囲気もあって面白かったです♫
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