三郎丸

双生児 GEMINIの三郎丸のレビュー・感想・評価

双生児 GEMINI(1999年製作の映画)
3.7
1度観るとクセになる塚本晋也監督の作品を経験すべく鑑賞!

今作は主人公にモックン(本木雅弘)が生きてきた境遇が全く違う双子を怪演です。

ストーリーは、
医師として富と名声を手に入れていた本木雅弘(眉毛ナシ)演じる大徳寺雪雄の前に突然現れる双子の弟、捨吉。
捨吉が現れたことで、平穏だった暮らしが一変する…
生まれつき、みにくい痣(あざ)が体にあった捨吉は、川に流されその後捨丸は貧民窟の人間に拾われていた(昔は双子は忌み嫌われていたため、どちらかを養子に出したりする事もあったらしいです。)

江戸川乱歩の原作を塚本晋也監督のセンスで、ストーリーにアレンジを加え、世界観も独特のものにしっかり仕上げておりました。
登場人物に眉毛がないインパクト!日本が舞台とは感じない異国感があり、引き込まれます。

ストーリー自体は、印象に残るまでのものではありませんでしたが、
双子を演じた主人公の本木雅弘
主人公の妻役りょうのストーリーが進むにつれて豹変していく様
が素晴らしい!

捨吉の登場シーン。
奇怪な音楽と共に、シブがき隊仕込みの(違うか!)身体をくねらせながら、くるくる綺麗に側転しながら登場!
ボロボロ&独特な色使いの衣装を身にまとい、不気味に笑う姿はモノ凄いインパクト!
捨丸が、雪雄を古井戸に落としてからのやり取りは、夢にでるくらいのクソ恐ろしさです…表情がキテました。

りょう演じる雪雄の妻が、もともとは捨丸と恋仲であった事がわかるあたりからの人格変貌もとても見応えある演技でした。あとUFOドーナッツ様のヘアスタイルは最高です!

雪雄と捨前。生きてきた境遇は違えども持っていた人間の心にある底知れぬ闇。この双子を観ていて、自分の中(誰にでもありますよね)にある闇に改めて気づかされる私でした。

生きていて何が怖いって、人間が一番怖い。ひとが何考えてるかなんて、誰にも分からないですからね…

塚本晋也監督の作品はいつもロックを感じさせます。そこが私は好きです!
三郎丸

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