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双生児 GEMINIのtetsuのレビュー・感想・評価

双生児 GEMINI(1999年製作の映画)
4.5
U-NEXTお試し期間が終わる前に、他ではあまり観れない作品を観ておきたいなぁ~と思い、鑑賞!!

舞台は明治末期。
医師の"雪雄"は、記憶喪失の妻"りん"と幸せな日々を過ごしていた。
そんなある日、父母の不可解な死に遭遇した雪雄の前に、自分と瓜二つの男が現れる...。

今回は、
前々からする予定だった試みを初採用!!
その名も"映画と学問"!
僕の大学では、授業の題材として映画が使われる事が多々あるため、そんな作品を改めて観た際、
折角なので、授業でどのように扱ったのか、本文の最後にメモを残していくことにしました!
(それ以外は、いつも通りの感想です。笑)
というわけで、
まずは手始めに、去年の春学期に聴講させてもらっていた文学部の授業で取り上げられた本作から書くことに...。

いや~、これはスゴイ邦画でしたね~!!
OPからゾワゾワする音楽、
何故か眉毛がない登場人物たち、
終始漂う不気味さが絶妙で、
これまで、あまり観たことのないタイプの映画でした!
ただ、これは昔の邦画全体にも言えますが、本作も例に漏れず、音楽の落差が激しいため、アメリカのB級ホラー並みに驚きました...。笑

そんな本作でも、一際輝いていたのが、主演:本木雅弘さんの演技!!
最近、落ち着いた役が多い彼ですが、
本作では、藤原竜也さん並にw狂った役を熱演していたのが印象的でした。
そういえば、
昔、夢の中で、本作の主演"本木雅弘"さんが出てきまして、
僕が「『おくるびと』の人や!」と言うと、
「『おくりびと』やぁぁ!」と怒られたのが、今でもトラウマなのですがw、
本作の彼の演技には、あの時の怖さを思い起こされました。(←知らんがな。笑)

ここから少しネタバレの危険性アリ!!
嫌な人は読み飛ばしてください!!


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そして、最も興味深い点は、
当時の社会格差について描かれている点でしょうか?
貧民窟にすむ人々と医師である主人公との階級差別を描いている点は、他の作品では、多分、見ることの出来ない唯一無二のテーマでしたし、
「人を救う自分は、偉大な人間だ!!」
と信じて疑わなかった主人公が、
井戸に落とされ、奈落の底、もしくは地獄のどん底を味わった上で、プライドが崩壊し、自分も同じ人間として、貧民窟へ医師として向かう展開が、説得力があり、重みのある物語になっていたと思います。


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というわけで、
ラストの長回しから双生児の意味が分かるラストシーンに至るまで、
見事に作られた本作。
「野火」や「鉄男」でも、お馴染み、塚本晋也監督が、江戸川乱歩さんの原作をいかに、映像化したのかも楽しみにしてほしい一作です!!

参考

映画 双生児 GEMINI
https://youtu.be/Ay7MSUM2UYQ
(えっ、Youtubeにあったじゃん...、わざわざ観た意味。笑笑)

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授業メモ

授業:映像美学入門
題材:照明
解説:作中、消えた父を探すため、回廊を歩き回る"りょう"さんのシーンでは、光源が様々なところに存在しているため、
顔の半分に照明が当たる"サイド・ライティング"や、
後ろから照明が当たる"バック・ライティング"など、
様々な照明の当たり方を見ることが出来る。

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