シミステツ

僕らの先にある道のシミステツのネタバレレビュー・内容・結末

僕らの先にある道(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

成功を夢見て北京で暮らしたい。
北京に食らいついて故郷に錦を飾りたい。
夢と現実の葛藤。

上底の靴を履く彼女。家柄や学歴で彼氏を選んだもうまくいかず。彼の家に泊まり込んで、身体の関係もなく、セックスの音がうるさい中で二人でイヤホンで音楽を聴いたり。今度はセックスのフリをして声を出してみたり、海賊版の販売、日本のAV女優の名前がたくさん出てくるあたりも面白い。

年末に音楽爆音で泥酔して。3年、家を8つ買うからひとつやるみたいに話して。

「私たちの関係って最高よね」

「待って」

年が明けて抱きしめあってキスするところ好き。

海賊版の販売で捕まるジエンチン。

「私のために尽くしてくれる?」

「君のためなら天に昇って月を取る」

「私みたいな特別な子、逃したら他にいないよ」

森の中で歩きながら、手を繋いで駆けて。

10年後、ジエンチンは結婚してたんだね、子どもとのビデオ通話で画角に映り込まないようにするシャオシャオ辛い。

タクシーから身を乗り出して「お金持ちになる!」って叫んだり。

「もし別れたら一生会わない方がいい」

「永遠に今がいい」

金も地位も名誉もどうでもよくて目標を持たないジエンチンに苛立ちを見せるシャオシャオ。カスタマーセンターで暴言を吐き、飲み場でも喧嘩するほど自暴自棄になるジエンチン。

今という刹那を永遠にしたくて、ずっとこのまま一緒にいたくて、それでも大人になって仕事や家族やプライドや色々なものが邪魔をして。この人生で確かに輝いていたその一瞬を宝物のように大切にしていてほしいし、あの時ああだったら、こうなってたかなって答え合わせしてもいい。その経験をもとに今、これからを生きていく二人を応援したい。叶わない恋があったという事実だけが二人を脆くも強くもする。

「後悔してる」

この言葉を共有できるだけでも一歩前に進めるね。

「たとえ結ばれなくても俺たちは家族だ」
ジエンチンの父の手紙よい。

エンドロールはうるっときた。叶わなかった恋のメッセージ。