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劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~のTaiRaのレビュー・感想・評価

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気分は北宇治高校吹奏楽部OGなので観ながら泣いてましたよ。みんな頑張ってる…って。私は何を言ってるんでしょうか。

原作にあたる『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』を『リズと青い鳥』と今作に分けて映画化したのはまぁ良かったと思う。テレビシリーズ同様、久美子を中心に置いた群像劇として作られているので正直映画一本分では時間が足りない。ただ映画なら最低でも150分は必要なのに100分で描いているので、要素が詰まり過ぎなのも事実。あらゆる問題がクライマックスの合奏に集約する過去作の流れを一応汲んでいるが、全てが上手くハマっている訳ではないと思う。登場人物の描き込みもエピソードの密度もちょっと少なめ。あえて散らかしたままなのかもしれないが。それはそうと傑作。先を進む人と追いかける人、才能や努力にまつわるシビアな視点、音楽を奏でる意味、十代なりの意味の模索が描かれる。「悔しくて死にそう」から始まった物語という点にも再度立ち戻る。なぜ「上手くなりたい」のか、なぜ「頑張る」のか。努力が報われない時もあるし、絶対的な才能の前にはどうすることも出来ないが、合奏は一人では出来ない。持つ者と持たざる者の群像劇としてやはりこのシリーズは優秀だし誠実。久美子=黒沢ともよは今回も本当に素晴らしい芝居をしている。あすか先輩に再会した時の芝居とか繊細で本当に良い。奏ちゃんとかあんなアニメっぽいキャラ立ちさせてるのに久美子との芝居では異常なリアリズムを感じさせる。演奏シーンにダイナミズムをつけようとしてるのは分かったが、演出がちょっと上滑りしてる気もした。『リズ〜』くらいミニマルなのが良いと思う。音楽を見せるには、やっぱ動きよりカット割が重要かな。

最後「そして次の曲が始まるのです」って言ってないけど俺には聞こえました。完結編の映像化もよろしくお願いします。
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