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劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~のHKのレビュー・感想・評価

3.8
武田綾乃原作の小説を京都アニメーションがアニメ化、その劇場版完全新作。監督は「涼宮ハルヒの憂鬱」「クラナド」などの石原立也。キャストは黒沢ともよ、朝井彩加、雨宮天などなど

全日本吹奏楽部コンクールに出場した北宇治高校吹奏楽部。今年の目標は金賞であった。新しく入った低音担当の癖のある新入部員のナイーブな性格と向き合いながら、彼らは練習を続けていく。

響け!ユーフォニアム自体まだ見たことがない。劇場版総集編である前二作も見ていない状況でこの映画を見た時点で所々意味不明になってしまう所は致し方ないのではあるが、所々類推したりするなどして最低限は頭に入った状態でなんとか映画を鑑賞することができた。

石原監督の青春群像劇は、なんかうまい具合に思春期のナイーブな側面を描いていてそこがとても上手いですね。あと北宇治高校のコンクール演奏シーンの指揮者の先生視点からクルクル回る演出もすごい凝っていて良かった。

新入生たちのどこかとげとげしている内面描写がとても拘っているような気がするよ。特に奏というなんか読めないキャラクターというのがとても良かったですね。

劇中、トロンボーンで遊んでいるカップルみたいな部員たちに向かって、洗剤が入っているボトルみたいなものが投げられる。あれを投げたのは一体誰なのだろうか。そこがなんか疑問。

映画の構造自体は、主人公の黄前久美子の視点を中心に新しい新入部員たちとの交流を描きながら、同時に秀一との恋愛模様、そして将来について悩む様子などいろいろなものを詰め込んでいる。

まあ原作が小説で一年の軌跡を2時間ほどで纏めること自体に無理があるので所々散らかってしまう場面はあるが、しっかりとした主題は決まっているために、そこに向かってしっかりと答えを出しているのは良かったとは思いますね。

周辺的な問題も、特に新入部員の鈴木二人組、美鈴という女の子がどれだけ仲間と打ち明けるのにトラウマを抱いているのかを黄前さんが諭す所もしっかりと手短ながらあまり執着せずに纏めていて良かったと思いますね。

あそこで諭すシーンの際の演出も影の演出が良くできているというか、あそこで奏と美鈴が二人ともあそこの影に隠れていて本性のようなものを出していないという所とかも、映画的演出が良くできていて良かったと思いましたね。

そして主題となる奏と久美子の関係というもの、お互いに安全圏から傍観者として物事を過ごしたいという、言うなれば普通の人たちとして部活を過ごしたいという側面が共通しています。そこからこれまでのストーリーで成長した久美子が奏に対してどのような答えを出すかどうかが、とても良かったのかなとは思いますね。

ただ、そこを諭す描写に関しても、雨の中で走るという…今じゃ使い古された演出方法になっちゃったのかな、声優さんの演技もあってかとても見応えはあったんですけど、飛びぬけて素晴らしい演出だったかというと…うーんてなっちゃうんじゃないんですかね。

コンクールの結果などはネタバレになってしまうのであれかもしれませんが、まあああいう終わり方でとても良かったと思いますよ。

あそこから部長になって一旦物語が終わるという形でよかったのかなとは思いますけどね。最後の展開で明確な結論に帰着しなくても、ふわふわと視聴者に委ねるような形で終わる映画のが好きなのでこれでよかったのかなとは思いますね。

悔しいという感情を得る。これがこのユーフォニアム全体の主題だとは思いますが、個人的にはこの手の感情はあんまり好きじゃないんですね。すんませんね。親の影響ですよ。それでも見れて良かったと思います。