ばろん

メン・イン・ブラック:インターナショナルのばろんのレビュー・感想・評価

3.4
ここ1週間で「MIB」シリーズを慌てて鑑賞して望んだ最新作。はじめに断っておくとこのシリーズは私にあまり刺さっていない。それを踏まえた上で以下読み進めて欲しい。

「MIB」と言えばウィルスミスとトミーリージョーンズ(時々ジョシュブローリン)によるJとKのコンビ芸を観るのが一つの見所であったと思う。そして今作の主役はまさかのクリヘム&トンプソンの「マイティソー」コンビ。MIBを志望してやって来る新米エリートMや、まんまクリヘムとも言えそうなキャラの陽気なHを始め、前作までの世界観を感じさせてくれるOや仔犬の登場もあり「新たなMIB」であるという事が随所に感じられた。先日集大成を迎えた「アベンジャーズ」シリーズでタイムリーな二人が、かつてのJ&Kを思わせるコミカルなやり取りを見せるのは問答無用に面白かった。

ただ一つ残念な事があったのはエイリアンの扱いについてだ。CGなどを使わずに魅せるドロドロとした薄気味悪くホラーテイストな表現。私は古臭さを感じさせて苦手だったが同時に昭和のヒーローらしい「特撮感」が「MIB」の最大の良さだと感じていた。しかし今回登場したエイリアンはいずれも最新技術を駆使して表現された至極真っ当な宇宙人。スライムのような気持ち悪い体液が出るどころか、まるで銀河を思わせる神秘的な身体ではないか。
確かに擬態するシーンで人間を吸い取るあたりはそれっぽさが合ったが、黒いスーツがぐちゃぐちゃに汚れるようなあの「下品な汚さ」がなかったのではないだろうか。どこを切り取っても現代風でオシャレな雰囲気が拭えなかった。

今作はタイトルからしてそれまでとは違う新しいMIBだと伝えたいのは自明だ。これまで散々登場してきたニューラライザーを物語のキーに置いてきたり、女性エージェントの活躍であったり、それまで見ることの出来なかった意外さはあった。しかしそれと同時にウィルスミスとトミーリージョーンズの時代にはあった大切な何かが大きく欠落した、良くも悪くも小洒落た作品になってしまったのではないだろうか。そういう意味では単体での見易さは個人的に1番なのだが、「MIB」の看板を提げてまでやる必要があったのかと言うと簡単には頷けない印象だ。

最後に、「“ハイ”T」ってそういうことか。あんたそういうとこだぞリアムニーソン。
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