ヨッシー

メン・イン・ブラック:インターナショナルのヨッシーのレビュー・感想・評価

2.8
『期待はド派手に裏切られた』

地球へとやってきたエイリアンを管理する秘密組織“MIB”の活躍を描いた大人気SFアクションシリーズ最新作。

MIBに潜むスパイを暴くミッションにエージェントHとエージェントMの新コンビが挑む。

監督は『ワイルド・スピード ICE BREAK』などのF・ゲイリー・グレイ。
主演は『マイティ・ソー/ラグナロク』『アベンジャーズ /エンドゲーム』でも共演したクリス・ヘムズワースとテッサ・トンプソン。

吹き替え版で鑑賞。

説明不要の大人気SFアクション・コメディシリーズの最新作なんだけど、僕自身つい最近までほとんど知らない作品だったので、これを期に過去3作を全て鑑賞してから観ました。

ウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズ主演による旧シリーズは独特なエイリアンの造型、SFガジェットの面白さ、そして何よりウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズのバディが最高に楽しい作品で、頭を空っぽにして楽しめる娯楽作だった。

そのMIBを監督と主演を一新しての今回の最新作。
主演はまさかの『マイティ・ソー/ラグナロク』のクリス・ヘムズワースとテッサ・トンプソン、つまりソーとヴァルキリーのコンビということでかなり期待が大きかった。
だが、正直なところその期待はド派手に裏切られた(事前の期待が大きかったからではあるが)。

一応、MIBの魅力はある程度はちゃんと引き継がれてはいると思う。
エージェント達が使う各種ガジェットはお馴染みの物から新しいやつまで盛りだくさん。今見るとどうしてもしょぼく見えちゃう過去作のガジェットも最新技術で観れる。

エイリアン達のユニークな造形も健在で、そのエイリアン達と人間達の共存するMIBはそれなりに観ていて楽しい。

また、新コンビのクリス・ヘムズワース演じるエージェントHとテッサ・トンプソン演じるエージェントMも以前のコンビとはまた違った味わいがある。
ソーとは逆に非常に整った容姿のクリス・ヘムズワースのイケメンっぷりや軽さは楽しいし、それとは逆のテッサ・トンプソンの新人ながらしっかりとした感じは良い。

こんな感じで確かにMIBのことはある程度は理解して作ってるとは思うんだけど、正直今回の『インターナショナル』はその素材の良さを十分に発揮できてるとは思えない。どの要素もそこそこは楽しめるけど、もっと面白くできた気がしてならない。

例えば、各種ガジェットは面白いっちゃ面白んだけど、なんかその場限りの使い捨ての物ばかりで、物語上の役割も薄い。
車から次々と新しい銃を取り出すアクションシーンも銃の違いが見た目だけで性能的にどう違うのかよく分かんないし、単純にアクションとしては単調。

エイリアンの造形もなんかMIBとしてはちょっとマイルドになっちゃってて、以前の昆虫や植物をモデルにしたちょっとグロテスクな感じが薄い。以前はMIBでしか見れないようなデザインだったのに、これなら『スターウォーズ』とかでも見れそう。

HとMのコンビも決して悪くはないんだけど、ウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズのコンビと比べるとどうしても見劣りする。
正反対のコンビが衝突しながらも徐々に絆を深めていくのがバディムービーの醍醐味なんだけど、今回のコンビはそこが薄い。
そもそもHがそこまで優秀なエージェントに見えない。どうせなら冒頭のシーンで彼の破天荒だけど優秀なところをアクション込みで見せて欲しかった。

ストーリーに関しては雑すぎて逆によく分からない。今回のヴィランとして登場するツインズの処理が雑すぎてアイツらが結局なんだったのかよく分からない。キャラの能力もMIBと言うよりはマーベルのヴィランっぽいし。

メインの話であるMIBにいるスパイを探す件に関しても正直誰がスパイか簡単に想像できちゃうし、そのキャラの扱いもやっぱり雑でよく分からないまま話が終わってしまう(一応ミスリードとして何人か怪しいキャラは他にもいるけど)。

物語の構成もその時その時の目的がかなりふわっとして状態で進むから面白くないし、やたらと無駄が多く無駄に上映時間を引き延ばしている気すらする。
特に中盤のレベッカ・ファーガソン演じるエイリアンからある物を奪うシーンは完全に寄り道。せめてそこで登場したキャラがその後も何かしらの役割を持っていれば良かったんだけど、そこで使い捨てちゃってる。
キャラクターにしろガジェットにしろ使い捨てが多い。

個人的にはちゃんとMIBしてるとは思うんだけど、どうも素材の良さを活かしきれてないし、どうしても旧シリーズと比べると厳しい。悪い意味で大味なB級スパイアクション映画になってしまった感じだった。
一応過去作を観てなくても大丈夫な作りにはなってるから一見さんも問題なく見れるし、シリーズファンへのサービスもある程度はある。頭を空っぽにして楽しむ分には良いかもしれないけど、もっと面白くできたんじゃないかな?とどうしても感じたし、期待値が大きかった分裏切られた印象だった。
もし続編を作るならもうちょっとアイデアを練りこんで欲しい。

あと、日本語吹き替え版が酷すぎる。公開前から吉本坂46が吹き替えすることで炎上してたけど、吉本坂はまだ脇役だし、そこまで気になるほどではなかったからまだ良いんだけど、今田美桜の吹き替えは許容できないレベルで酷い。
今年は『シャザム』の菅田将暉もかなり酷かったけど、それ以上に合ってないし下手。
Hの杉田智和は全然悪くないんだけど、せっかくMCUのコンビである事を売りにしてるんだからわざわざ変える必要があったのかは疑問。
今年はとにかく吹き替えが酷い映画が多い。そこまでやっておいてどの作品も大したヒットになってないし、本当に誰も得しないからちゃんとしたキャスティングをしてほしい。
ヨッシー

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