岡田拓朗

スマホを落としただけなのにの岡田拓朗のレビュー・感想・評価

3.4
スマホを落としただけなのに

私の全てが壊されていく。

うーん、そりゃそうかって感じなんですが、このタイトルと予告からだと、良くも悪くも裏切られた感じはある。タイトルが一人歩きしてる感。

もっと社会派要素強めの作品かなと思ったけど、細かな伏線の回収(まさかの主題歌のタイトルである「ヒミツ」までもが伏線となってる)やミステリー的展開のおもしろさにかなり寄っていて、大衆向けに作られていた。
そりゃそうかと言ったのは、ここまでプロモーションに力がかけられてるのとこのキャストだからまあ納得した感じ。
そこのギャップと設定の不自然さが評価の伸び悩みなのかなと。

似たような題材として、「フェイクニュース」や「search」を直近で鑑賞していたので、それよりは物足りなさが残った。

そもそもですが、今作の楽しみ方は社会派要素の強い作品としてではなく、ミステリー要素と伏線です。
そういう見方で観るとわりとおもしろい。
近しさでいうと「22年目の告白」。
これも社会派要素期待してたのに騙された感あったけど、ミステリー要素としてのおもしろさがあり、わりと世に広がっていっていた印象。

何を言ってもネタバレになるので、レビューのしにくさはかなりありますが、まさかまさかの展開が待っているので(でも二択くらいまでには絞れた笑)、色んな人を疑いながら鑑賞するのがおすすめです!

ここは中田監督のディレクションとキャスティングがさすがに絶妙で上手だなと思った。
まさかあの人に行き着くとは思わなかったし、布石や他に目を向けさせる物語の作り方は上手。

惜しいのは、仕方ない部分もあるかもだけど、やはりご都合主義的な設定とどちらにも振り切れてないことによる中途半端さが否めなかった点。

この題材を扱うのならばもう少し社会派に寄せてもよかったかもと思いつつ(個人的な好みでもありますが笑)、大衆向けに描くならこれくらいに落ち着くのかなとも思いつつ。

まあでも一定スマホの取り扱いには注意しましょうというメッセージ性はあって、そこに無頓着すぎるとこういうことって起こりかねないよってのはなくはない。

それこそテクノロジーを扱う側がそれを悪い方向に使っていたら全然あり得るし、世界であればテクノロジーを活用したテロなんてまさにそんな感じだし、日本でも悪徳なハッカーも全然いるわけだから、やっぱり情報の取り扱いには気をつけないといけない警鐘にも若干ながらはなっている。
パスワードとか写真とか、あそこまで脆弱だと取り返しつかなさすぎるけど。笑

でもあそこまで深掘りされたり簡単に入り込まれるようになってるとしたら、本当に怖い世の中だなと。
それこそスマホはもはや生活必需品となってるし、あらゆることに使われているから、乗っ取られたとしたら当たり前やけど迅速に対応しないといけないし、本質となる部分を解決しないと、収拾つかなくなっていくのはかなりリアル。

インターネットに関わらないといけない時代になってる現代においては、最低限のリテラシーは確実に必要になっていることのサインである。
知らず知らずのうちに、テクノロジーやネットと普通に関わる時代になってるから、そこへの意識(アンテナ)がほとんどない方にとっては、ハッとする内容かもしれない。

友人や恋人とさくっと観れて、終わったらあっこって絶対ああやと思ったよね、とか犯人まさかやったと、わかりやすく話のネタには尽きない作品だと思います。

個人的には出ているある方の新境地な演技が見れたので、それはわりと新しい収穫として満足。
誰かはネタバレになるので言いません…でも観たらわかると思います。笑
ただね、北川景子はこのような作品はやっぱりちょっと違うなー。自分が合わないだけかもやけど。
田中圭以外の脇を固めるキャスティングは冒頭にも書いたけど、わりとよかった。
北川景子と田中圭は、話題を掴むためのキャスティングな感じがして、活かされてない感が半端なかった。
けもなれの田中圭とフェイクニュースの北川景子を見てるから、比較するとよりそれを感じる。
それにしても筧美和子はキャラ確立しすぎ!笑
ちょっと可哀想なくらいどの作品でも同じキャラ。

ミステリー映画として、ある方の演技を中心に、ぜひ楽しんでください!
社会派要素と題材としての深さを求めるなら、「search」、「フェイクニュース」の方が圧倒的におすすめです!
岡田拓朗

岡田拓朗