マクガフィン

スマホを落としただけなのにのマクガフィンのレビュー・感想・評価

3.1
某作品のレビューにて、事前に犯人を知る。犯人バレ以外は事前情報が殆ど無い特殊な状況で鑑賞。原作未読。

スマホを落とした人は、ヒロイン(北川景子)でなく、彼氏なことに感心する。覗き見している感じで、徐々にヒロインの表層から深淵に繋がっていくことが上手い。その繋がりは、インターネット内の繋がりからはみ出て、現実とネットの繋がりを端的に表しているようで興味深い。

黒髪白ワンピの女に対する偏愛は、「女優霊」や「リング」のセルフパロディだろう。中田監督なので、もっとホラー寄りになると思いきや、ミステリーサスペンス系なことが良く、コミカルやライトさを挟んで、メリハリがあるテイストも好感。

千葉雄大の新人の空回り的危うさを持ち込む展開になると思いきや、過去にトラウマを抱く男たちの対比や対決が印象深い。ミスリード的な展開もミステリーには効果的に。

犯人を知っていたので、その揺さぶりは判断しかねたが、そんな状況でも終盤までテンポ良く、一気に見せることが上手い。だが、ヒロインの過去で停滞し、作中の繋がりにたいした意味も無く、付け足した感じで、蛇足に。深淵を除いた時に、個人の闇だけでなく、人間の業を除いた感じにしないと映画だとキツく、闇の部分がボヤけた感じに。飽きはこなかったがヒロインの設定に一捻り欲しかった。