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オペレーション・フィナーレのmaverickのレビュー・感想・評価

4.0
ネットフリックス製作のオリジナル映画。その中でも上質な部類に入り、もっと評価されてほしいなと思う。ナチスドイツの戦犯、アドルフ・アイヒマンをどう捕らえたかを描く物語。歴史的出来事の裏では何があったのか、非常に興味深い内容になっていた。アイヒマンを演じるのは『ガンジー』の名優ベン・キングズレー。ユダヤ人大量虐殺に関わった者の中で最大級の戦争犯罪者だが、その男を残忍なモンスターとしてではなく、非常に人間味ある男として演じている。それでいて節々にぞっとする冷酷さが見える表現に圧倒される。許されない所業を行ったとはいえ、途中彼に同情しそうになる。そう思わせる作品性はいかがなものかと思いきや、最後はしっかり締めてくれる。彼の捕獲劇について描かれており、彼の人間味ある部分にも触れている。しかしながら、やはり作品の核となるのは犠牲になったユダヤ人がいたことを知っていてほしいという想い。アイヒマンは言った。「命令だから従ったまで」。そうだとして、やはり無くすべきは戦争なのだ。戦争がなければ誰も不幸にならなかった。戦争は人を不幸にする。生き残った人も苦しめるのだ。そのことを強く感じさせる物語。ネットフリックスが独自にこうしたメッセージ性の高い作品を作ることに感心する。これからも良質な作品を生み出してもらいたい。
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