凛太郎は元柚彦

キングの凛太郎は元柚彦のレビュー・感想・評価

キング(2019年製作の映画)
3.2
シェイクスピアが原作。15世期前半に王位に就き、どんな挑発にも乗らず常に冷静な判断を下し、戦争では自ら前線に立ち仲間を鼓舞していたヘンリー五世の実話を基にした伝記映画だ。
"君の名前で僕を呼んで"で繊細なティーンを演じてたティモシーシャラメが若き王といううって変わって重厚な役に扮しててまったく違う表情をみせててめっちゃ良かった。ヘンリーの親友役を演じてたジョエルエドガートンの存在感もさすがの一言。彼は脚本も担当してるらしい。多才すぎだよね。
こういう歴史モノの大作映画ってとにかくお金掛けてダイナミックにアドレナリン大放出ーみたいな奴が多いけど、この作品ではあえてそうしてなくて、序盤から淡々と暗いシーンが続くんだけどそれが当時のヨーロッパの霧のように霞む不穏さを出してて素晴らしい。暗い映画だけど見せ方が上手いから不思議と退屈はしないし登場人物達のセリフはいちいち心に来るものがある。
それにとにかくリアリティを追求した戦いのシーンが臨場感MAXで最高。この時代のヨーロッパに銃なんてないから、兵士達は35kgを超える重い鎧を身にまとい二本の足と馬で地を蹴り、戦場では泥をかぶった幾重もの鉄鎧と大剣が重々しくぶつかり合う音が鳴り響いてるのである。
壮大で重厚な伝記映画、中世ヨーロッパで行われていた王政と戦争の悲惨さを知るという意味でも見応えのある一作だった。