TaiRa

つかのまの愛人のTaiRaのレビュー・感想・評価

つかのまの愛人(2017年製作の映画)
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70分ちょっとの映画って全部面白いんじゃないか。短いから大した話語らなくて良いしね。

中年の教授と教え子の女は恋人同士。教授の娘が失恋して家に転がり込んで来る。女と娘は同い年。娘は自殺未遂までする。ここが少し間抜けで良い。愛とか恋に狂わされた人間は大概滑稽だ。娘は自分を捨てた恋人に電話してしまうが何も言えない。翌朝、娘は女に恋人から無言電話があったと言ったりする。しかも信憑性を持たせる為に小細工までする。教授は女と喧嘩した夜、街へ散歩に行きまた違う教え子の女に出会う。浮気欲は確かにあったが理性を働かせて家に帰る決断をする。そうすると後ろの薬局のシャッターがガラガラと閉まって行くので面白い。逆に女はすぐ浮気してしまう。行きずりの関係が増えて行く。欲求不満でもないし色情狂でもない。彼女にとっての自由や解放がそういう形でしか表出しないだけだ。大学のトイレでファックしてる女とそうとは知らずにトイレへ向かう教授をパンで映すのがやはり滑稽で良い。女が帰宅してから娘も交えた会議が開かれる。ここではスリーショットを作らない。教授を真ん中に置いてツーショット〜ツーショットに。女は教授と別れ、娘は恋人と復縁する。この空間では愛は定量なのかもしれない。愛を失った娘が教授と女の愛を吸い取ったみたい。もしかしたら教授と別れた女は泣きじゃくりながら父親の家に転がり込んで自殺未遂なんかして、どこかの男と出会って結ばれたり、または教授のもとへ戻って来たりするかもしれない。愛とか恋はいつも阿呆らしくぐるぐる回っている。
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