「エヴリシング」が
途絶えることのない永遠の愛だと解るまで
幾つもの波は押し寄せてくるのだろう
寄せてくる波にのみこまれようとする息子と
引いていく波を待とうとする父親
父は全ての愛をも超えたものが
「エヴリシング」だと教えていた
アルコールと薬物依存症は
容易には断ち切れないと重々に伝わる
とうてい他力は自力には及ばないものである
ニックが
「僕のことを誇りに思ってほしい」と言う
けれどデヴィッドは
帰宅した息子に「薬物検査を」と促す
「信頼しているから証拠がほしい」
この矛盾した求めにニックは応じている
薬物が脳に与える影響を学んだり
自らドラッグを手に取るあたり
息子の気持ちに寄り添う方法を
捜しあぐねる姿が窺える
また二人の母親も波の前に立っていた
義理の母は遠避かる波を願い
実の母は何があっても溺れさせないと誓う
デヴィッド(スティーヴ・カレル)と
ニック(ティモシー・シャラメ)が
実の親子のように思えて胸が締めつけられる
ヘンリー・チャールズ・ブコウスキーの詩が
エンドロールに流れるので
早々に席を立ってはいけませんヨ