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ビューティフル・ボーイのbebemamaのレビュー・感想・評価

ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)
3.7
劣悪な家庭環境ではない。
どこにでもある家庭、全く普通の青年。
どうして薬物に手を出してしまったのか?きっかけは?
劇的なストーリー、感動的な結末があるわけではない。救いたい時と救ってほしい気持ちの時が重ならない時もある。

具体的なきっかけや事件が描かれていない事によって、より誰でもが陥入る事なのだと言いたいのかと思う。

父子双方の手記が題材になっているようなので、一方的ではない感じがする。(ポスターもそう)

父親の深い愛情をもってしても救えない。
簡単に依存に陥る。
簡単に薬物は手に入る。
恐ろしい、、、

幼い頃のニックとのシーンが度々入る。
あの頃は良かったあの頃に戻りたいなのか、一体いつからこうなってしまったのかと思っているのか、、、

24時間親の管理のもとにいる幼い頃。
でも、子供はいつか自立していかなければならない、親の元を離れて。
あの幼い頃の幸せなシーンがより一層今の状態を浮かび上がらせる。

何が悪かったのか、親である自分なのか、
ずっとずっと自問し続ける、父親の姿。
やめたいのにやめられない子供。
色々と辛くなって、2人の姿に涙が、、、

父親役のスティーヴ・カレル、抑えた演技でよかった。
挙動不審な、見ただけで中毒患者だという演技ではないティモシー・シャラメの演技もリアリティがあった。
多分、大半は見た目はわからないんだろう。それだけに、周りにはわかりにくく、気がついたら深く進行している。

音楽が良かった。
(でも、私がわかるのはニール・ヤングの「HEART OF GOLD」とサンライズサンセットだけだったが)

どこにでもいる青年が、という点で、誰もが簡単に薬物依存になってしまう危険性を感じ怖かった。

人間の心って弱いものだから。
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