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ビューティフル・ボーイのERIのレビュー・感想・評価

ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)
3.4
自分が育てたこの子に時々思う、この子は誰なんだろうって。戸惑いながらも必死に息子と向き合った父と、ドラッグから抜け出せないムスコの親子の実話。


あの頃のレオナルド・ディカプリオといい、今をときめくティモシー・シャラメといい、どうして人は美しい人の破滅していく姿を観たいと思うのでしょう。

やっと観れました。劇場公開していた時、やや重めだと聞いていた本作と気持ちのピントが合わなかったのだけどレンタル開始してたので借りてきました。とにかくめちゃくちゃ英語が聞き取りやすい。

ニコラス18歳。朝起きると息子はベッドにいなくて、彼の好きな物で溢れた部屋はぽっかりしている。離婚した妻のところにも行っていないという。帰ってきた息子はドラッグに手を出していた。ココから父と息子の時間が始まる。

更生施設に入った息子は、16歳の頃からあらゆるドラッグをしていることがわかる。前を向き始めたニコラスは考え直して大学に行くことにしたけど、やっぱり薬からは抜けられない。どんどん壊れていく。まるでうまくいっているような時間も、本当の本当のところすれ違ったまま嘘が重なっていく。真実を知る父親は悪化していく息子とどう向き合えば良いかわからなくなる。

なんか、めちゃくちゃリアルだなぁ。

カフェでお金欲しいってニコラスが言うシーンは迫真に迫ってて。父は正しくて間違っている。こういう時の息子が好き、というのがこれまでまでの会話でも出ていて。僕はダメなところもあって恥づかしい部分もある自分全部が僕なのに。それをわかってもらえなくて、居心地が悪いんだ。それを忘れたくてドラッグの深みにハマっていく。その時だけは何もかも忘れられたから。ダメなことはわかっているけど、止まらない。止められない。

Everything.

父は心配で心配でたまらないのに。すべてを超えて愛しているのに。堕ちていく息子をうまく抱きしめてあげられない。うまく救ってあげられない。

ニックは何度も薬をやめようとしたけど、気持ちが少し落ち込むと制御できなくなってまた手を出してしまう。一緒にいた友達は過剰摂取で病院に運ばれた。もう堕ちるところまで堕ちてしまった。

ココから抜けるのは並大抵じゃない。
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